クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

コメントはメーカー案内書より抜粋です。お問い合わせ:goodies2@pc.highway.ne.jp

07-10 No.20

2007年10月24日 14時36分23秒 | Weblog
<NEOSレーベル>
COL LEGNOの元社長が立ち上げたドイツの新しいレーベルNEOSレーベルですが、
怒涛の新譜ラッシュです。
ドナウエッシンゲン音楽祭のライヴ4タイトルに、ジャズ・エディションの
「エリオット・シャープ・エディション」などマニアにはたまらないラインナ
ップです。またCOL LEGNOから引き継いだシリーズやCOL LEGNOがプッシュして
いた作曲家も紹介されています。現代音楽ファンは見過ごせません。

NEOS10709 \2450
ジャズ間奏曲付きシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」+ベリオのフォー
ク・ソング
シェーンベルク:
月に憑かれたピエロOp.21(マリア・バプティストによるジャズの間奏曲付き)
ベリオ:フォーク・ソング
ステラ・ドウフェクシス(Ms)、
コンスタンティア・ゴウルツィ指揮
オーパス21ムジークプルス
マリア・バプティスト(P)
この「月に憑かれたピエロ」では、第2部と第3部の間にマリア・バプティスト
(この演奏でピアノも弾いている)によるジャズ間奏曲が挿入されています。緊
張を強いられるこの作品でちょっとした休憩といった感じになっています。
「フォーク・ソング」は、アルメニア、アゼルバイジャン、フランス、イタリ
ア、アメリカなど様々な国の様々な旋律の編曲です。
ドウフェクシスはドイツとギリシアの血を引き、2004年からベルリン・コミッ
シェ・オーパーに所属しています。オーパス21ムジークプルスは、シェーンベ
ルクのこの作品番号から名前を取り、音楽以外の芸術と結びついた音楽を演奏
する、管弦打楽器奏者から成る合奏団です。

NEOS10710(SACD-Hybrid) \2650
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.16
マティアス・シュパーリンガー(1944-):早朝の色-7台のピアノのための
ジェームズ・エイヴリー指揮
アンサンブル・サープラス
シュパーリンガーはダルムシュタット音楽アカデミーとシュトゥットガルト音
楽演劇大学で学び、シェーンベルク、ウェーベルン、ストラヴィンスキー、
ヴァレーズの音楽やジャズ、シェーファーのミュジック・コンクレートの影響
を受けています。この作品は、全体は無調的で、ピアノを打楽器的に扱い、リ
ズムの変化の可能性を追求しています。

NEOS10711(SACD-Hybrid) \2650
ラディスラフ・クビーク(1946-):作品集
(1)ジバゴの歌
(2)短い協奏曲
(3)シンフォニエッタ第2番「ヤコブの壁」
(1)アドリアン・トンプソン(T)、
ロナルド・ゾルマン指揮チェコ・フィル
(2)ヨアンナ・ソブコフスカ(P)
(2)(3)ヴラディミール・ヴァーレク指揮プラハ放送響
(1)2006年11月ライヴ録音(2)(3)2001年6月録音
COL LEGNOレーベルでも継続的に紹介してきたクビークの最新盤。
クビークはプラハ音楽アカデミーで学び、1993年プラハ国際フランツ・カフカ
作曲コンクールに入賞し、1991年からフロリダ州立大学教授を務めています。
ジバゴはパステルナークの小説『ドクトル・ジバゴ』の主人公で、無調的な暗
い基調に叙情的な旋律が織り込まれています。

NEOS10714 \2450
チャールズ・ウゾー(1961-,ナイジェリア):作品集
(1)私は決して歌ったことのない秘密の歌を歌うだろう
(2)シェークスピアのソネット第61-弦楽四重奏とテープのための
(3)「私の健康を取り戻させる惠みは…ただ見て」-ギター四重奏のための
(1)ヴォルフガング・マイヤー(Cl)、
(1)(2)カルミナ四重奏団、
(3)クワジ・ファンタジア・ギター・アンサンブル
COL LEGNOの(WWE20032)に続くウゾーの作品集。ヴォルフガング・マイヤー(ザ
ビーネの兄)やカルミナ・カルテットといった名手たちも登場!
ウゾーはナイジェリアで生まれ、ビアフラ戦争の時スイスに移り、ロンドン王
立音楽アカデミーでも学んでスイスに戻り、現代音楽の様々な手法を用いて作
曲しています。第1曲の曲名はスペインのトルバドゥール、ベアトリクス・デ・
ディアの報いられない愛を指していて、叫び声のようなテープ
の音が挿入されます。第3曲の曲名はマショーのバラード「私は痛まない」か
ら採られました。

NEOS10724(SACD-Hybrid) \2650
「ドナウエッシンゲン音楽祭2006 第1集」
(1)オレ=ヘンリク・メー(1966-):
レンガー(lenger)-弦楽四重奏と独奏ヴァイオリンのために
(2)サエド・ハダド(1972-):覆われた喜び-弦楽四重奏のために
(3)ヴォルフガング・リーム(1952-):
行為と昼-ソプラノと弦楽四重奏のための2つの練習曲
(4)フリオ・エストラーダ(1943-):毎日の-声と弦楽四重奏のために
アルディッティ四重奏団、
(1)オレ=ヘンリク・メー(Vn)、
(3)クラロン・マクファデン(S)、
(4)フリオ・エストラーダ(声)
録音:2006年10月世界初演ライヴ
ノルウェーの作曲家メーによる第1曲は、弦をこするような奏法に終始します。
ハダドはヨルダンで生まれ、西洋の文化の「他者」である自分にとってアラブ
の文化は何を意味するか考えながら作曲していると述べています。リームの作
品は2幕から成り、第2幕はブレークの詩によっています。エストラーダはメキ
シコ・シティで生まれ、クセナキス、シュトックハウゼン、リゲティなどに師
事しました。「毎日の」では弦楽器が打楽器や電子音のような音を発します。

NEOS10725(SACD-Hybrid) \2650
「ドナウエッシンゲン音楽祭2006 第2集」
(1)ゲオルク・フリードリヒ・ハース(1953-):
ヒュペリオン-光と管弦楽のための協奏曲
(2)イェルク・ヴィトマン(1973-):第2の迷宮
(1)ルペルト・フーバー(練習指揮)
(2)ハンス・ツェンダー指揮
(1)(2)バーデン・バーデン・フライブルク南西ドイツ放送響
録音:2006年10月世界初演ライヴ
「ヒュペリオン」では、4群のオーケストラが会場の4つの壁に沿って配置され、
演奏者は4つの音源に反応して演奏し、打楽器が様々なテンポで拍を刻む間に
音響の塊が変化して行きます。ヴィトマンはヘンツェ、リームなどに師事し、
クラリネット奏者としても活動しています。「第2の迷宮」は、1年前に作曲さ
れた、48の弦楽器のための「迷宮」の主題を別の方法で用いています。

NEOS10726(SACD-Hybrid) \2650
「ドナウエッシンゲン音楽祭2006 第3集」
(1)マルティン・スモルカ(1959-):
センプリーチェ(単純に)-新旧の楽器のための6楽章
(2)ヴォルフガング・ミッテラー(1958-):
内部で分離されて-バロック管弦楽、合奏と電子音のために
(1)(2)ルーカス・フィス指揮
フライブルク・バロック管弦楽団&アンサンブル・ルシュルシュ、
(2)ヴォルフガング・ミッテラー(ターンテーブル)、
フライブルク音響芸術実験スタジオ
録音:2006年10月世界初演ライヴ
プラハ出身のスモルカによる第1曲は、「少数の音楽の道具が、一つの単純な
真実を思い出させるいくつかの単純な感情を喚起する」という考えに基づき、
ホケトゥス、ハ長調の和音、微分音、自然ハーモニックス、自然ホルンの調律
されていない音などを用いています。第2曲は、テレマンの「水上の音楽」の
楽句のコラージュで、これをバロック管弦楽団が演奏してオーケストラが模倣
し、そのいくつかは電子的に操作されて、バロックと電子音との奇妙な交錯が
生じます。

NEOS10727(SACD-Hybrid) \2650
「ドナウエッシンゲン音楽祭2006 第4集」
マウリツィオ・カーゲル(マウリシオ・カーヘル)(1931-):
ディヴェルティメント?-合奏のための笑劇
アルベルト・ポサダス(1967-):歪像-大合奏のために
ラインベルト・デ・レーウ指揮
シェーンベルク・アンサンブル・アムステルダム
録音:2006年10月世界初演ライヴ
カーゲルはブエノス・アイレスで生まれてドイツに移り、電子音楽や、劇や映
画と結合した音楽を作曲しています。「ディヴェルティメント」は変化に富む
活発でにぎやかな作品で、演奏で普通は禁じられている行為と演奏者間の対話
が求められています。スペイン人ポサダスの「歪像」は、人物を歪めて描く絵
画の技法を適用しています。

●NEOS JAZZ
このシリーズはジャズとはいっても、クラシックの現代音楽と実験的ジャズを
行き来しているようなアーティストを起用した、現代音楽ファンにも訴えるも
のが強いシリーズとなっております。
イェンス・ヨネライトはクラシックの作品も多数書いており、ベルリン・フィ
ルのための作品も作曲しております。またエリオット・シャープも実験的な
ジャズから始まっていますが、クラシック的要素も多くみられ、現代音楽ファ
ンには知られた存在です。

NEOS40701 \2450
イェンス・ヨネライト(1968-):「気まぐれな」
夜明けに/ともされたろうそく/想像した別の日/ゆらめく炎の中に/あばかれた
おどけたしぐさ/気まぐれな/他
トム・シューラー(Tp,Fhrn)、
イェンス・ヨネライト(Dms, Cb, P, 電子P)
2005-2007年録音
ヨネライトはドイツのオッフェンバッハで生まれ、サウス・ダコタ大学で美術
と音楽を学び、マディソンのウィスコンシン大学で作曲をジョエル・ナウマン
に師事しました。交響曲,協奏曲,室内楽曲など多数の作品があり、ベルリン・
フィルのためにも作曲しており、前衛の中で人間的な表現を探求しています。

NEOS40702 \2450
(エリオット・シャープ・エディション第1集)
エリオット・シャープ(1951-):「誤り」
スプリニーの切符/異言で/砂の都市/どのデルタ/刺激/人智圏/他
エリオット・シャープ(G, Sax, コンピュータ)、
テクトニクス
1998年録音
シャープはバード大学でフリー・ジャズの先駆者ラッド、バッファロー大学で
フェルドマンなどに師事し、1979年からニューヨークの前衛的な演奏会場でギ
ターを弾き、実験的音楽の主要人物となりました。コルトレーンからクセナキ
スまで広範囲から影響を受け、作品は管弦楽曲からブルース、ジャズ、ロック、
テクノまで及びます。ここでは、激しくかき鳴らされるギターにクラリネット、
サクソフォン、ドラム、シンセサイザーなどが加わっています。

NEOS40703 \2450
(エリオット・シャープ・エディション第2集)
エリオット・シャープ:「シンダキット」
シンダキットSyndaKit第1部-第4部
オーケストラ・カーボン、
エリオット・シャープ(G)
1998年12月録音
オーケストラ・カーボンはシャープが創設した電子楽器を含む小規模な管弦楽
団で、シャープは曲によってギター、クラリネット、サクソフォンを演奏しま
す。この作品は、群がる鳥、通りの遊び仲間、組換えRNA、アフリカのドラム
合奏などを音素材やその構成方法として用い、各部分では同じリズムがしばら
く執拗に反復される上で様々な音が飛び交います。

NEOS40704 \2450
(エリオット・シャープ・エディション第3集)
エリオット・シャープ:「喉頭」
喉頭1-6
オーケストラ・カーボン、
ソルジャー弦楽四重奏団、
エリオット・シャープ(G, Sax, Cl,サンプラー)
1987年6-10月録音
この曲名は、ジューズハープ(口でくわえて指で弾く口琴)と、イヌイットとモ
ンゴルの歌に関係があると作曲者は説明しています。ここでシャープは自分が
考案し製作したダブル・ネック・ギターなどを担当して、協奏曲のような要素
もあり、騒音も含む大音響の力強い音楽が展開します。

NEOS40705 \2450
イェンス・ヨネライト:「集積」
ほのめかし/変転/延長/難問
ロスコー・ミッチェル(Sax, Fl, Pic)、
イェンス・ヨネライト(Dms, Cb, P)
2003年2・5月録音
ここに収録された作品のリズムはジャズ風ですが、ピアノの扱いや、特に第2
曲の独奏サクソフォンの様式はクラシックの現代音楽風です。ミッチェルは
1940年シカゴで生まれたアフリカ人の作曲家・サクソフォン奏者で、現代音楽
の先端にいる前衛ジャズの主要人物の一人と見なされています。

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07-10 No.19

2007年10月24日 14時35分36秒 | Weblog
<PentaTone>
PTC 5186 316(SACD-Hybrid) \2850
L・V・ベートーヴェン(1770-1827):
交響曲第5番ハ短調Op.67《運命》/交響曲第8番ヘ長調Op.93
フィリップ・ヘレヴェッヘ(指揮)、
ロイヤル・フランダース・フィルハーモニック管弦楽団
コレギウム・ヴォカーレやシャペル・ロワイヤル、そしてシャンゼリゼ管との
コンビで幾多の名演を残している古楽演奏の世界的権威フィリップ・ヘレヴェ
ッヘ。これまでの長い音楽活動で培われたピリオド・アプローチをモダン・オ
ーケストラの演奏に取り込んだ演奏で絶大な反響を呼んだベートーヴェン全集
の第2弾がなんとペンタトーン(Pentatone)から登場に!
今回ペンタトーンからリリースされる第5番&第8番の2曲は、今年2007年の6月
にオランダ・アインホーフェンのフリッツ・フィリップス・ミュージックセン
ターで収録された最新録音。
ヘレヴェッヘとロイヤル・フランダース・フィルの録音を担当したのは、アン
ドレアス・ノイブロンナー率いる世界最強録音チーム「トリトナス」。
ティルソン・トーマスと&サンフランシスコ響のマーラー・チクルスで実現し
た超優秀録音の実績があるだけに、録音面への期待も非常に大きい。
2007年6月4日、9日-10日の録音。

●ハンス・フォンクの遺産 ※通常CDです
PTC 5186 318 \1450
L・V・ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調Op.21
J・ブラームス:交響曲第4番ホ短調Op.98
ハンス・フォンク(指揮)、セントルイス交響楽団
セントルイス響の自主レーベル「Arch Media」によって録音された今は亡き名
匠ハンス・フォンクの録音がペンタトーンから全世界に向けて発信することが
決定!スラットキンの後任として1996年にセントルイス響の音楽監督に着任し
たオランダの名匠ハンス・フォンク。
数多くのレコーディングやコンサートをこなしていたフォンクだが、度重なる
病の影響で1996年から務めていたセント・ルイス交響楽団の音楽監督を2002年
に辞任となってしまう。(その後闘病の末、2004年8月29日に63歳で他界。)
この「ハンス・フォンク・レガシー」は、ハンス・フォンクのセントルイス響
時代を知ることの出来る貴重なシリーズとなるだろう。
ベートーヴェンの第1番とブラームスの第4番の2作品では、フォンクの特徴で
ある堅実な音楽作りによる秀演を聴くことが出来る。両作品とも指揮者の力量
が問われる名作だが、フォンクが見事にセントルイス響から堂々とした響きを
引き出している。
1999年11月5日-7日&2000年3月17日-18日、パウエル・シンフォニー・ホール
でのライヴ録音。

PTC 5186 321 \1450
A・ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調《ロマンティック》
ハンス・フォンク(指揮)、セントルイス交響楽団
フォンクはブルックナーを自らの重要なレパートリーとして度々コンサートで
取り上げており、壮大な作品に対するストレートなアプローチは欧米を中心に
高い評価を受けてきた。ヨーロッパのオーケストラではなく、アメリカのセン
トルイス響を振ったブルックナー録音というところもポイント。
2001年4月19日-21日、パウエル・シンフォニー・ホールでのライヴ録音。

PTC 5186 319 \1450
C・ドビュッシー:管弦楽のための3つの交響的素描《海》
M・ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ、管弦楽のための舞踏詩《ラ・ヴァルス》
A・ルーセル:バレエ音楽《バッカスとアリアーヌ》第2組曲
ハンス・フォンク(指揮)、セントルイス交響楽団
ベートーヴェンやブラームスから一転、フランス物での豊かな色彩感と巧みな
表現力はフォンクの引き出しの多さを証明している。特に「海」や「ラ・ヴァ
ルス」で自由自在にオーケストラをコントールするフォンクの手腕は見事。
2001年3月30日-31日、2000年1月27日-29日、1999年1月15日-17日、
2000年1月27日-29日、パウエル・シンフォニー・ホールでのライヴ録音。

PTC 5186 320 \1450
O・メシアン:トゥーランガリラ交響曲
ギャリック・オールソン(ピアノ)、
ジャン・ローレンデュー(オンド・マルトノ)、
ハンス・フォンク(指揮)、セントルイス交響楽団
フォンクのレパートリーの広さと、セントルイス響の力強さが存分に発揮され
たメシアン。ギャリック・オールソンのピアノとベテラン奏者ローレンデュー
のオンド・マルトノも聴きどころの1つ。1999年2月12日-13日、パウエル・シ
ンフォニー・ホールでのライヴ録音。





<Avi-music>
4260085 530595 \2450
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1、2、3番、スケルツォWoO.2
アンティエ・ヴァイトハース(Vn) ジルケ・アヴェンハウス(P)
録音:2006年12月
アンティエ・ヴァイトハースとジルケ・アヴェンハウスによるシューベル作品
集(4260085530052)に続くアルバム。ブラームスの音楽を愛してやまないこの
2人。非常に雄弁で歌心に満ちた演奏で、ブラームスの旋律美を深く温かく弾
きあげています。自身の歌曲「雨の歌」の旋律を主題にした第1番の第3楽章。
2人の熱いブラームスへの思いが感動的な演奏を生んでいます。また第2番の
第1楽章は湧き上がる美しい旋律を、優しく包み込むようにヴァイトハースが
奏でると、アヴェンハウスがきゅっと引き締まったピアノで音楽の流れを作り、
詩情豊かでありながらも、あくまでも自然な演奏を聴かせてくれています。
決して技巧に頼ることなく心で演奏されたブラームスに心を撃たれる1枚です。




<AEON>
AE 0755 \2450
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1、2、3番
テディ・パパヴラミ(Vn) フィリップ・ビアンコーニ(P)
録音:2007年5月24-27日
その超絶技巧で聴衆を魅了するテディ・パパヴラミ。これまでAEONレーベルで
発売されたJ.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ
(AE 0535)とD.スカルラッティ:ソナタ集/ヴァイオリン編曲版 (AE 0644)で
はその奇才ぶりを発揮。均整の取れた音楽性とコントロールされた表現力は、
頭の良さを感じさせる切れのある演奏です。このブラームス:ヴァイオリン・
ソナタは彼自身2度目の録音(LYRINXから発売/廃盤)。パパヴラミは最良のパー
トナー、フィリップ・ビアンコーニとともにブラームスの音楽に真摯に語りか
け、音楽を紡ぎだしています。第3番はブラームスらしい重厚さと劇的情感が
打ち出された作品。パパヴラミの演奏は直情的ではなく、抑制の効いた構築性、
曇りのない美音の中に見え隠れする情感。やはり只者ではないと思わせる演奏
です。




<ORFEO>
ORFEOR 724071 \2080
ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調
ヨゼフ・カイルベルト(指)ケルン放送交響楽団
録音:1966年11月4日,ケルン,フンクハウス
ブルックナーとカイルベルト、どちらもドイツ気質丸出しの音楽性ゆえ、相性
は合いそうなのですが、CDで聞けるのは6番、9番(TELEFUNKEN)と、4番、7番
(N響とのライヴ)だけ。傑作第8交響曲を聞きたい!というのは、カイルベルト
・ファンの念願でした。それがついに叶えられます!1966年のケルン放送への
ライヴ録音で、ステレオです。カイルベルトの指揮は、期待通り骨太で一本木
なもの。ハース版を使用しつつも、随所にロマンティックな表情を見せ、動的
な情感が醸されており、決して生真面目一本の無粋なブルックナーになってい
ないのがカイルベルトの見事なところ。ケルン放送交響楽団がそれに立派に応
えています。ライヴといっても放送用の少人数の入りだったのか、ノイズもあ
まり多くなく、蔵出し音源の新鮮さもあって、この年代としてはかなり聞きや
すいもの。近年は稀になった男気のブルックナーに胸を熱くできることでしょ
う。




<Profil>
PH 08011 \2180
(1)フランク:交響曲ニ短調
(2)レスピーギ:交響詩「ローマの松」
ユーリ・アーロノヴィチ(指)ウィーン交響楽団
(2)ルドルフ・ショルツ(Org)
録音:1985年3月20日ウィーン、ムジークフェライン大ホール(ライヴ)
オーストリア放送協会提供の音源による復刻。戦時の実体験にもとづく迫真の
「レニングラード」(PH.07009)が強烈な印象を与えた、アーロノヴィチによる
注目のライヴ第2弾。数多くの録音を残し相性の良さをみせるウィーン響との
顔合わせによる今回は、鬱蒼とした響きで重く濃い味わいのフランクと豪華絢
爛なレスピーギというプログラム。当時Wiener ZeitungやDie Presseの演奏会
評でも大きく取り上げられました。なお、当夜はほかにハインリヒ・シフの独
奏でプロコフィエフの交響的協奏曲も演奏されています。





<SUPRAPHON>
SU 3926 2枚組 \2960
スメタナ:喜歌劇「2人のやもめ」
マリア・タウベロヴァー(カロリーナ) 
ドラホミーラ・ティカロヴァー(アネジュカ)
イヴォ・ジーデク(ラディスラフ・ポドハーイスキー) 
エドゥアルド・ハーケン(ムムラル)
ミロスラヴァ・フィドレロヴァー(リドカ) 
アントニーン・ズレサーク(トニーク)
ヤロスラフ・クロンプホルツ(指)プラハ国立劇場O.&Cho.
録音:1956年11-12月プラハ、ルドルフィヌム
半世紀を経て記念碑的録音が初CD化。国民的オペラ「リブシェ」につづいて書
かれた「2人のやもめ」は、これまでの祖国の歴史や神話などを題材にした内容
とは異なり、洗練された、たわいのないサロン風のコミック・オペラ。堂に入
った歌唱と、母国語のたいへん明瞭なディクション。当アルバムはタウベロ
ヴァー、ティカロヴァー、ハーケンといった当時の伝説的なソリストを揃えた
チームにより他を寄せ付けない完成度を誇っています。





<ZIG-ZAG TERRITOIRES>
ZZT 2060101 3枚組 \3250
【CD1】ラモー:コンセールによるクラヴサン曲集 (ZZT 2040301)
【CD2&3】F.クープラン: クラヴサン曲集 (ZZT 040401)
ブランディーヌ・ランヌ(Cemb)




<BelAir>
BAC 028(DVD-Video) \4950
字幕:英独仏西
モーツァルト:「後宮からの逃走」
シャーロク・モシュキン=ガラム(語り セリム)
マリン・ハルテリウス(S コンスタンツェ)
マガリ・レジェ(S ブロンデ)
マティアス・クリンク(T ベルモンテ)
ロイク・フェリックス(T ペドリッロ)
ヴォイテク・スミレク(Bs オスミン)
マルク・ミンコフスキ(指)
レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル=グルノーブル
ユーロパ・コール・アカデミー
演出:ジェローム・デシャン,マシャ・マケイエフ
収録:2004年7月,エクサン・プロヴァンス音楽祭
噂の上演がついにDVDに!2004年7月にエクサン・プロヴァンス音楽祭で上演さ
れた「後宮からの逃走」です。何といってもミンコフスキの指揮のカッコイイ
こと!彼は「後宮からの逃走」を大変得意にしており、既に1997年のザルツブ
ルグ音楽祭の公演がDVDになっています。そちらがモーツァルテウム管弦楽団
だったのに対し、こちらは手兵レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル=グルノー
ブル、当然ミンコフスキの意図はより徹底されています。躍動する音楽はノリ
ノリ!歌手では、先日のチューリヒ歌劇場来日公演で絶賛されたベテラン、
マリン・ハルテリウスを軸に、近年モーツァルト・テノールとして人気急上昇
のマティアス・クリンク、フランスの若く新鮮なソプラノ、マガリ・レジェ、
ポーランドの知性派バス、ヴォイテク・スミレクなど、かなり優れたもの。
デシャンとマケイエフの舞台は、エキゾティズムを引き出し(オーケストラの
団員まで衣装をつけて、民族楽器を活用)をつつ、マンガチックでコミカルな
面白さもたっぷり。イケ面セリムが踊るフィナーレから、観客大興奮のカーテ
ンコールにかけての盛り上がりは、DVDで見ても最高です。

BAC 026(DVD-Video) \4950
字幕:英独仏西
ボスマン:「ジュリー」
マレナ・エルンマン(S ジュリー)
ゲイリー・マギー(Br ジャン)
ケルスティン・アヴェモ(S クリスティン)
大野和士(指)モネ劇場室内管弦楽団
演出:リュク・ボンディ
収録:2005年7月
2005年にベルギーのモネ劇場で初演され、非常に大きな話題となったボスマン
の「ジュリー」がDVDに。原作は、ストリンドベリの高名な「令嬢ジュリー」。
伯爵令嬢のジュリーが、召使のジャンと関係を持ち、剃刀で自殺する、という
話。小編成のオーケストラに、75分ほどの長さというコンパクトなオペラなが
ら、緻密な心理描写から大成功を収めました。DVDに収録されているのは、共同
制作のエクサン・プロヴァンス音楽祭での上演。全て初演と同じメンバーで、
自信に満ちた上演になっています。モネ劇場でのライブCDもありますが、リュ
ク・ボンディの舞台があってこその上演でしょう。大野ファンはもちろん、広
くオペラファンにお勧めできるDVDです。




<MIRARE>
MIR 027 \2500
F.クープラン:クラヴサン作品集
大殿様、シャブイの王女またはモナコのミューズ、軽はずみな女、フロール、
メヌエット、二重生活者、嘆きのほおじろ、芸術家、おじけた紅ひわ、
キタイロンの鐘、勝利者の歓喜、プレリュード第6番、機知、
フランスのフォリアまたはドミノ、葦、プレリュード第8番、
そしらぬ顔であざ笑う女、うなぎ、交差するメヌエット、手品
ピエール・アンタイ(Cemb)
名手ピエール・アンタイによる大クープランのクラヴサン作品集。美しさとシ
ニカルさを持ったクープランの音楽世界を、想像を超えた表現力により描き出
されています。アンタイの師であるレオンハルトの悠然とした格調高い演奏と
は違い、洗練された表現と考え抜かれたアーティキュレーションで明晰さを感
じさせる演奏となっています。奏される音、一音一音にはっきりとした意思を
感じさせる強い音楽性を漂わせています。

MIR 048 \2500
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲
シャオ・メイ・シュ(P)
シャオ・メイ・シュは上海出身のピアニスト。文化大革命の影響を受けるも、
アイザック・スターンに見出され渡米。1985年からはパリに拠点を移して世界
各地で演奏活動を行っています。MANDALAレーベルに1999年に録音されたゴル
トベルク変奏曲(廃盤)は、ディアパゾンで5つ★を獲得した名演。この最新録
音でも彼女独自の斬新な解釈により、他では聴くことの出来ない稀演となって
います。

MIR 036 \2500
ビゼー:交響曲 ハ長調、組曲子供の遊びOp.22
シャブリエ:田園組曲
フランソワ=グザヴィエ・ロス(指)
レ・シエクル
1971年生まれの新鋭グザヴィエ・ロス率いる室内オーケストラ、レ・シエクル
による演奏。2007年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭でも演奏されたプログラム、
ビゼーとシャブリエ。シャブリエの「田園組曲」はピアノのための「絵画的
小品集(全10曲)」のうち4曲をシャブリエ自身がオーケストラにアレンジした
作品。華やかさと明るさに満ちた若々しい演奏で聴かせてくれます。またビゼ
ーの交響曲も覇気に満ち、生気と新鮮さを前面に出した音楽です。




<haenssler>
98 238 \2080
ハイドン:
(1)交響曲第41番ハ長調Hob.I:41
(2)交響曲第44番ホ短調Hob.I:44「悲しみ」
(3)交響曲第47番ト長調Hob.I:47
トーマス・ファイ(指)
ハイデルベルクSO.
録音:2006年5月8-9日、9月13-15日
メーレンバッハ、ビュルガーハウス
ことし2007年9月にたった一度きり、東京で行われた初来日公演が前評判どお
りの絶賛を浴びたファイ率いるハイデルベルク交響楽団。快調に進むハイドン
・シリーズの最新作は、作曲者お気に入りの名作「悲しみ」を含む3曲を収録
しています。
随所でみられるテンポの揺らしや鋭利なアクセントの多用。そして急と緩との
激烈なコントラスト。これでこそ「悲しみ」というニックネームの由来にも
なった、ハイドン自らが亡くなる際に演奏を希望したといわれるアダージョの
美しさも活きてくるというもの。音楽評論家の安田和信氏が「古典派時代の聴
衆が音楽から感じ取った熱狂と興奮を現代に蘇らせることにこそある」と評し
たように、わたしたちが忘れかけていたなにかを思い起こさせる力がかれらの
演奏にはあります。ピリオド・アプローチの最先端を突き進むコンビが生み出
すたまらなく刺激的な音楽は、いままさに旬を迎えたといえるでしょう。

98 259 \2080
ラフマニノフ:
(1)ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.18
(2)ピアノ協奏曲第3番ニ短調Op.30
ヘンリ・シーグフリードソン(P)
ステファン・ショーヨム(指)SWRシュトゥットガルト放送SO.
録音:2006年10月16-19日ジンデルフィンゲン・シュタットハレ
前作シベリウスのピアノ編曲集(98.261)で、その抒情美をあますところなく引
き出したフィンランドのシーグフリードソン。つぎに取り上げたのはラフマニ
ノフの協奏曲、それも第2と第3という最高のカップリングです。
ラザール・ベルマンにも師事してテクニックも万全。それにもまして、同じ北
欧系のアンスネスあたりに通じる透明感あるピアノが奏でる緩徐楽章の美しさ
といったら、思わずため息が出るほど。サポートするのは1979年スウェーデン
生まれのショーヨム。セゲルスタムとフィンランドの伝説的な指揮者ヨルマ・
パヌラに師事した俊英です。




<SUPRAPHON>
SU 3932 \1780
(1)ドヴォルザーク:弦楽セレナード ホ長調Op.22(B 52)
(2)同:管楽セレナードOp.44(B 77)
(3)スーク:「聖ヴァーツラフ」のコラールによる瞑想曲Op.35a[弦楽合奏版]
ヤクブ・フルシャ(指)
プラハ・フィルハーモニア
新日本フィルへの客演を通じて、その実力のほどが日本のファンの間にも着実
に浸透しつつあるチェコ期待の指揮者フルシャ。ことし10月の定期公演では
「新世界」交響曲を振って、才気と共感いっぱいの熱演を繰り広げました。
最新録音のドヴォルザーク・アルバム第3弾は、セレナード2作とドヴォルザー
クとは師弟の間柄であったスークの作品を収録しています。
「私の考えでは、ドヴォルザークは誇張されたり、気負って飾りつけられたり、
こうあるべきと過度に型にはめられたり、さらに何も考え無くあるいはわざと
らしく技巧に走り始めた途端に、そのアプローチは正しくありません。私の目
指すのは、その単純さと自然さとを強調することなのです。これが失われてし
まえば、ドヴォルザークはもはやドヴォルザークではありません。」(ヤクブ・
フルシャ)

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