マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

新歌舞伎座うら

2009-12-21 13:42:26 | 

新歌舞伎座裏に名店あり。その名を山三という。
大阪ブルーグラス・ナイトの後、久々にお馴染みの顔ぶれと寄ると、お歴々が後からやって来られた。和気あいあい。

山瀬さんご夫婦は全面的に信頼を寄せる人なので、お酒はお任せにする。ちょいと冷酒をいってから燗に切り替えたい。
何を飲んだかはあんまり覚えていない。

この店にはキラリと光る、酒飲み泣かせの酒肴があるのが嬉し。

よこわの胡麻醤油づけ  こいつは酒を選ばない佳品。



隣の人が頼んだ、オクラのおひたし   たまには悪くない。




牛すじ煮込み  東京下町風に一味をたんとかけるべし。



元天野酒の西條さん、堺で夢衆という酒を造っておられたが、
お元気にされてるかな・・・。

女将さんはdocomoの中吊り広告で顔を出したりもしてらっしゃるが、ま、一応気を使って無粋なものを目線に入れさせていただく。




日本酒には定番の生ずし。大阪では締め鯖のことをきずしと呼ぶ。 初めて自分で適当に作った時は、食べるのが怖かった。




おでんもここの定番。温まるー。
とある店は冬場、「暖房がてらにやってます」と言ってた。
確かに冬場の湯気はそそる。夏場は見たくないね。



奈良香芝の小さな酒蔵、大倉酒造の山廃純吟。
備前雄町という酒米。山廃特有のガツンとくる味わい。
これは燗で。ゆったりほろほろ酔い心地、燗酒はやっぱいいなぁ。



自家製鰻のスモーク。
燻製の香りに、どっしりした酒がぴったりくる。



看板まで居座ってしまった。
いつもながら気持ちよく飲ませていただく。
客との距離の取り方が絶妙。こういう飲み屋は当節貴重である。



桃山造りの新歌舞伎座の唐破風。閉門して久しいが、次に何が建つのやら。こちらの小屋は上六に引っ越し、銀座木挽町の歌舞伎座も今年で終わり、ビルに建て替わるという。なんだか難しい時代に差し掛かっている。
千鳥足の酒徒は、見上げてため息ばかりである。


            山三    大阪市中央区難波4

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かたつむり

2009-12-13 22:50:34 | 



エスカルゴぢゃないよ。3匹のカタツムリが屋号。
聞きそびれたが、イタリアでは何らかのいわくがあるのかな。
カウンターに3匹が仲良く並んでいた。



まずはお盆の見本から、こちらの名物手打ちパスタを選ぶ。
分かりやすいサービス。口で言われるより目で見た方が早い。
アニョロッティとトロフィエを。




まず幕開けは泡で、フォンガロ・ヴェネト。




前菜に、シチリア風カルネミストのクロスティーニ。

ああ、言葉がわかんねぇ。名前が覚えられねぇ。
だから赤毛ものの芝居は苦手なんだぁ・・・。
シチリアはご存じ、イタリア南端にある島。
コーザノストラ発祥の地。

クロスティーニは温かいリエットのようなもん。カルネミストは肉盛り合わせみたいな感じか。豚肉と鴨肉のミックス。
パンがいっぱい食べれてしまう・・・




ローマ風コッパ温製サラダ仕立て

豚耳・ホホ・タン・モツなどのフロマージュ・テットのような。
早い話ホルモンの寄せハムみたいなもん。
考えりゃこれも豚、オーダーに芸がなかった・・・。



自家製のフォカッチャ。

母を思い出すなぁ。フォッカチャ~~ン・・・




手長海老のサルディーニ島風グリル・カラスミとオレンジの香りのモリーカ・ディ・パーネ (長いわっ!)

サルディーニとは長靴型のイタリアの西、地中海に浮かぶ島。
モリーカ・ディ・パーネとはなんのことはない、焦がしパン粉。
パーネはパンね。ややこし。

手長海老っていつも食べてから思い出すのだけど、スタイリッシュではあるが、身がほんのちょっとしかないのが腹立たしい。

白のグラス、ファランギーナ08

いざパスタの部へ。
店としては手打ちパスタも食べてほしいのだろうけど、こちとら今までママーだオーマイだとニッポンのスパゲッティを食いつけてきた人間。セモリナ粉のデューラムなんてここ十数年のこと。洋食屋から喫茶店まで麺類には特別な思い入れがある。スパゲッティは生麺に非ずだが、あの乾麺の噛み応えと喉ごしは捨てがたい。各店ともどうかスパゲッティは大事してね。
でも!今日のところは手打ちを味わおう。




活アジとフレッシュトマトのトロフィエ、万願寺のソース和え。

トロフィエ、松明のような形だからこの名があるのだろう。
リグーリア州というから、陸地のもっともフランスよりの州。
明治維新まで独立国家の寄り合い所帯だったというから、イタリアは州が変われば特徴も人種も変わってしまうというから面白い。色男ベルルスコーニ首相も殴り倒されるわけだな。



ドルチェット・ダルバ05 (ピエモンテ州)
バローロ、バルバレスコが有名なピエモンテ。これはドルチェット種のブドウを使用。


北海道・白糠鹿のアニョロッティ 発酵バターと鹿のスーゴのソース 
エゾ鹿を挽きラヴィオリに詰めたもの。スーゴとはだしの意味。パルミジャーノもたっぷり。美味いっす!




藤田政昭シェフは多彩な手打ちパスタの使い手である。一か所で各地のパスタが味わえる店は本国にもそうそうない。



ボリュームあるメインは3人で取り分けて十分。
花巻石黒農場のホロホロ鳥のカラブリア風唐辛子煮込み
真っ赤に見えるけど、辛くない。

カラブリアは長靴の足の甲からつま先にかけての州ですね。




エスプレッソをシメに。ドルチェまで行けなかったが大満足であった。満足に大をつけるヤツは幼稚でキライだけど。



    タベルナ・デッレ・トレ・ルマーケ  大阪市北区西天満5 


 

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鄙にはうどん

2009-12-12 01:49:41 | 

秋田にゃありますな、いなにわうどん。
こちらは、鄙にはうどん。
三度目の来訪。最初は田舎の辻にポツンとあった前の店へ。
二度目はここへ引っ越してから来たのだが、定休日でもないのに閉店しており、あちゃ~と天を仰いだ。



実家の一部に建てたプレハブ小屋が店である。
讃岐のうどん屋のようでせう。
あいにく雨だったが、晴れると眺望がきいて気持ちがいい。



高速道路、ETC土日1000円の影響あり、京都の田舎へ来るより
海を渡って讃岐うどん食べに行ってしまうらしく、ちょっと客足が減っているらしい。



きつねうどん小 @440



天ぷらそば @550  のどごしのいい手打ち麺。



おろしうどん だったっけ。いろいろ食べたいので小にする。

讃岐では腹が膨らむので、頼まないのがコツですが、
ここでは天麩羅もたのんでしまいます。




なす、竹輪天、舞茸(おどるうどんを思い出す)



カレーうどんにはなすを入れて。
カレーは新商品。せっかくなんで、もう少し個性の出たスパイシーさがあってもいいかも。



きつねには竹輪入れました。



天ぷらには舞茸を。



隣り合うガラス張りの部屋にはギターが吊ってあって、
ラスクが売られてました。なんで?
讃岐ばかりがうどんぢゃないよ。
たまにはちょっと遠出をしてみるというのもいいでしょう。



            たなか家   京都府綴喜郡井手町玉ノ井



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よろしおす、別世界

2009-12-06 14:35:57 | 

某日、東山・建仁寺の祇園丸山さんへ。



北側には開祖栄西が喫茶を伝えた臨済宗建仁寺。例のミシュランの発表会もここで行われました。斜め向かい側には人気店「さ々木」があり、静かな中に、京都屈指の美食地帯となっています。





雨にぬれた草木や庭石はしっとりとした気分にさせてくれます。竹筒の流水は地下水を引き込んでいて、見てる間にも何処かが汲み上げていると水量が減ったりする。 
こうした日本家屋の庭に花を咲かせたりしない。
花は床の間におくものらしい。



高台寺土井で修業し、菊乃井、和久傳を経て、ご自分の店を祇園に出した丸山さん。一代でここまでできるのが凄い。
丸山さんの物の見方に影響を与えたのは、土井の女将さん。

土井は二千坪からの庭があり、岸・佐藤など歴代首相が訪れ、まず風呂へ入り、庭を散歩して、ゆっくりと酒食を楽しんだ。そのために蛍や蝶、カジカを庭に放したという。「料理ではなく、時間を食べている」のだと悟ったという。事業仕分けもない時代、世の中のんびりしてたんですなぁ。料亭受難の時代です。


こちらは、別日に撮影させてもらった瓢箪の酒器。
3つの陶器製の猪口は、傍らの賽の目をふり、それによって酒を飲まされる趣向。緊張するお客さんをこうした座興でもてなすのも祇園の芸舞妓の仕事だったそうだ。



秋の料理。
代白柿の海胆射込み。和牛、車海老、アワビ、栗など吹きよせの石焼き。冷と熱のコントラスト。酒は初しぼり。一瞬の秋をこの盆の上で活写する。 お見事!


さぁ、我々もいただきませう。




先付け  霧が吹かれた縁高盆  朱盃と葛の葉の色彩。



朱盃につがれるのは、キンモクセイのリキュール。
つなぎ団子は祇園花街の紋章。柔らかに団結を表す。



お姉さんに注がれてクイッ、おめでたい心持になります。



胡桃豆腐  いくら、たたきオクラ、胡桃

サッサッサッ…サービスにあたるお姉さん方の着物の衣擦れの音がええもんです。心地よい緊張感を呼び起こします。



まぁ、冷たいところから・・・。

何度もこちらに来てますが、ここでいやな目に会ったことありません。同じ祇園でとある料理屋に行ったところ、お運びのねえさんが終始ドタドタ・ガラッ…というガサツなサービスだったことがあり、料理の味が飛んでしまったことがあります。
俗世間を忘れて、京都を味わいたいのですから、昔ながらの祇園へ=つまりは別世界に誘ってくれなければ意味ありません。




お椀が先に来ます。
懐石料理ではお椀が最大のメインといってもいいでしょう。

鱧 道明寺仕立て(炙り)
結び湯葉  青柚子



造り  鯛、烏賊  
よく切れる包丁で切ると鯛の断面がぷっくり艶々いたします。



こんなのに変えて・・・玉の光純米酒  甘露ですなぁ。

これもまた瓢箪。縁起物であると共に、緊張感~なごやかさ~また締めるところは締める、という道理がこめられる。緩んだら緩みっぱなしではいけないということ。分かっちゃいるんだけど。



徳利がくっつかないように、受け皿の上にはさりげない工夫。



焼きもの  すずき、胡瓜あん、みょうが




お凌ぎ  小さな煮麺  温泉卵 大葉



炊合せ  小芋・いんげん・ごぼう・かぼちゃ・なす・椎茸・蓮根



酒肴  もはや後半だが、これが出るのだから酒を追加。


いちじく田楽
なすのように見せる擬態ですな。



鯛 煮凍り 枝豆



白和え、生海胆
こういうので延々、ず~~っと飲んでいたい。
でも、そうもいかないのです。



釜炊きごはん  香の物  赤だし

土鍋のごはんをふんわりとよそってくれる。



水菓子  柿?のソルベ 巨峰 なし

まんぞく、まんぞく。
料理だけでなく、もてなし、しつらえ。さすがは丸山さん、緻密にして隙がありません。

クレバーでともすれば冷たい感じも与えるかもしれませんが、丸山さん、情熱の人です。面白がったら突っ走る人です。そこが傍から見ていると面白く、でも下で働く人たちは、その面白がりようを理解するのは大抵ではないと感じました。古典回帰を旗印につなぎ団子で行ってください。


さぁ、ぷらっぷら歩いて河原町まで出ましょ。

 

         建仁寺祇園丸山   京都市東山区建仁寺正門東入



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歌う、米式時代劇スター!

2009-12-02 13:25:11 | カントリー

たまには食い意地から離れて、もうひとつのテーマを書かねばいけません。拙者、ウェスタンスイングと並んで、カウボーイソングというのが好きざんす。

最も早く耳にしたカウボーイソングは、ラジオから流れてきたジーン・オートリーの歌声でした。彼のベストヒット、Back In The Saddle Again は今も我が愛唱歌のひとつです。


   

Gene Autry(1907~1998) テキサス州ティオガ生まれ。電信技士として働き、ダンスパーティーで歌ったりしていた頃、ウィル・ロジャースに見出された。ウィルはカウボーイスタイルで売ったボードヴィリアンで、のちにコラムニストとしても一世を風靡した人物。彼を題材にしたミュージカル「ウイル・ロジャース・フォーリーズ」はブロードウエイで観ている。

1930年代、ラジオの時代に注目を集め、ローカルからハリウッドへ。B級映画だが、銀幕へと躍り出たジーン。

     

Singing Cowboy!敵をやっつけては馬にまたがり、揚々と歌い上げた。日本でいうとまさに歌う時代劇スター、高田幸吉!大江戸出世小唄というところだ。♪えぇ~しょんがいな…


     


Home On The Range (峠の我が家)
Mexcali Rose
South Of Bordar
Deep In The Heart Of Texas   and many more !!


僕の好きな Someday You'll Want Me To Want Youも
彼の持ち歌。

同じ歌う西部劇スターでも、テックス・リッターやロイ・ロジャースと異なり、男性的な包容力ある声で朗々と歌い上げるタイプ。そのオールドファッションなスタイルが心地よい。


     

他には一連のクリスマスソングのヒットがある。
赤鼻のトナカイ、サンタが街にやってくる、フロスティ・ザ・スノーマン。ぼちぼち、カフェや商店街で耳にする頃だ。

特に赤鼻…は1949年のビルボード1位で200万枚売り上げている。並の歌うカウボーイでないのはお分かりだろう。

野球ファンならジーン・オートリー球場の名前は耳にしたことがあるかもしれぬ。1961年からロサンジェルス・エンジェルスの初代オーナーとなり、彼の死まで続き、現在、アナハイム・エンジェルスと球団名が変わるも、26番はよき理解者ジーンを讃えて、永久欠番となっている。スケールのでかいスターだった。


        


すっかり西部劇も作られなくなったアメリカ映画だが、サルーンで喧嘩騒ぎが起きたり、美人で鉄火肌な姐さんがいたり、寅さんみたいなお約束が楽しかった。地平線を望む大平原を馬で疾走したりするさまは、胸のすく思いがしたもんだ。
今は先住民を悪者に仕立てることもできず、作りようが難しいのだろうけど。

ともあれ今宵は、古き良き時代の歌手、ジーンオートリーの歌でもいかがだろうか。押入れの奥からチューニングの狂ったギター引っ張り出してきて歌うのにも丁度いい。シンプルな彼の歌には、やはり、バーボンをストレートでクィッ…コホン…などとやるのがよろしかろう。

コメント (3)
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