熱心な阪神ファンでもない私としては、甲子園のアルプス席にいたとしても、心は龍園の方に傾いている。試合前に行き、帰りに寄ったことがある。常連などではない。
球場の騒ぎをよそに、ここの小さなカウンターに座る喜び。何でも美味いが、鶏ピータン、豚内臓の炒めもの、鶏手羽唐揚げ、キュウリのたたき、老麺、ツァイポー(干し大根の卵焼き)、こういうので紹興酒をチビチビやるとこたえられない。冬場は大根スープが美味いらしい。
名物、掛布ライス1000円。濃い醤油焼き飯の上に、黄身の卵焼き、
白身のあんがドロリ。たまりません。
掛布雅之が広めたが、実は阪神の育成担当の西口祐治が考案、西口ライスといわれていた裏メニュー。
江本孟紀は51年に南海からトレード入団、田淵に連れてきてもらったとのこと。江本は今も常連だ。先の大根スープはエモやんスープというらしい。ことさらファンでもないが、野球界は人間くさくて割と面白い。
台湾料理「龍園」 西宮市甲子園網引町 阪神甲子園から10分
ちょっと時間があったので、福島から用事のある海老江まで歩いた。
店構えのいい寿司屋。テントがシャレている。
銅壁の家。神田辺りにもいくらもあったのだが、
最近見なくなってきた。
幹線道路もちょっと一本入れば、古い石畳があり、
長屋が連なる。
子供の歓声などは聞こえず、静まり返っていた。
海老江へ向かった目的はここ。
うどん屋の「やとう」。讃岐系だが、店主は徳島出身で自己流という。
かまたまうどん¥500 多くのうどん屋は全卵を使うのだが、ここのは
卵黄だけ。一気に混ぜると黄身がうまく茹で上げの麺にからみつく。
そのさまは、まさにカルボナーラ。すだちが一層からむ効果を高めるのだとか。
鎌田のだし醤油を、味を見ながら少しずつ加える。
うどんはあっという間に、胃の腑に滑り落ちていった。
手打ちうどん「やとう」 福島区海老江7丁目
新歌舞伎座裏といえば新宿二丁目、堂山、新世界北側と同様、薄汚れたモーホーのスナックがあったりするのだが、そんな中、
こんな小洒落たドイツビールを飲ませる店があるとは知らなんだ。
店はくたびれたビルの2階。店内はカウンターのみ。
まずはビットブルガーの生。ドイツの大手ビール会社で、サッカードイツナショナルチームの公式スポンサーでもある。
クミン入りのゴーダチーズとサラミがビールにドンピシャ。
ただ赤道を二度越えてくる生ビールはどうか…という声もある。
でも結構なもんでしたよ。
日頃は凝ったビールなどとは全く無縁。ナショナルブランドの国産ビールがほんの少しあればいい。すぐ腹が一杯になってしまう。
ドイツでビールを飲んだのは何年前だったか。オランダで一人フラリと入った店で飲んだ白ビールが美味かった記憶がある。
ドイツのビールのことはアイスバインのでかさに圧倒され、あんまり覚えていない。
左はヴァーラスタイン、右はヴァイツェンステファナー。
どちらもヴァイツェンと呼ばれ、小麦が入るバイエルン名産の白ビール(ヴァイスビア)。
ドイツのビールは原則、大麦・麦芽・水で造られるが、ヴァイスビアはそこに小麦が50%入るもの。クリーミーで少し濁った色が特徴。
0.5㍑は持て余しそうだが、結構くっくっ行ってしまう。
これも同じくマイセルズ・ヴァイス。
やはり、こういうのがビールには合うな。
これもミュンヘンの白ビール シュナイダーヴァイス。
西成のコロッケ 長橋で人気の肉屋のコロッケらしい。下町の味。
エルディンガー・ヴァイスビア“ドゥンケル”
バイエルンのビール酵母入り黒ビール。
アンチョビポテト ドイツ風な素朴な味がよく合う。
南ドイツの古都バンベルグのシュレンケルラ・メルツェン・ラオホビール
ラオホとは煙の意味。燻製されたモルトを使って醸造される独特の風味と味わいの深さ。
これを飲んで一言発した私。「いぶりがっこや!」
秋田名物に、この味そっくりの燻した沢庵がある。
タコス これも美味かった。
ケストリッツァー・シュヴァルツビア 詩人ゲーテが愛したという黒ビール。元々ビールとはこの色だったという。
ビール好きのドイツ人はこんなに次々アテなど頼まない。
本来なら、ビール飲みの風上にもおけないだろうが、かまやしねぇ。
フォカッチャ 海老と融けるチーズが美味かった。
ドイツのビールは覚えにくくてしゃあねぇや~。
「Beers&Bar NOLA」 中央区難波4 新歌舞伎座裏
おんや…?歯科診療所かいな?
スリッパに履き替えて、6席のみ。
じゃがいもととうがらしの煮物 青柚子を散らして。
もり蕎麦を頼むとついてくる。
鴨焼き タスマニア産マスタードで。
そばがき すごくソフトでクリーミー。茨城県水府の蕎麦を使用。
香りがすごい。熱湯ではなく水で練るとこうなるという。
鹿のしぐれ煮 原了郭の黒七味が味を引き締める。
小さなじゃがいも「インカの目覚め」 味が濃い。
酒がまだあるので、豆腐ようをつつきながらまた一杯。
香川の「悦凱陣」、島根の「王禄」をいただく。
やっぱ蕎麦にゃ日本酒でやんす。
いよいよ蕎麦 香りもよし、箸ばなれもいい、だしの効いた濃い目のつゆにキレがある。おろしたての山葵。あっという間に喉を滑り落ちてゆく。また一軒、旨い蕎麦の店ができたのは大歓迎だなぁ…。
女将松田鮎美さんは、篠山の名店「ろあん松田」の娘さん。旨いものを食べさせてくれる気が感じられる女性。右手前の打ち台を組み立てて、朝から蕎麦を打つ。奥のキッチンはピカピカに磨き込まれている。
外へ一歩出れば、ドカンと大阪ドームが飛び込んでくる。
「ろあん鮎美」 大阪市西区千代崎2 月~木