マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

神戸元町!東京とんかつ

2012-07-30 18:34:53 | 


    
 


ボクがとんかつにゾッコンになったのは東京時代。

それまでも大阪で食ってはいたが、言っちゃあなんだが

膝を打つような旨いトンカツにぶつかったことはなかった。


なんせ、関西では「肉といえば牛肉」のこと。

豚肉は単に豚!と呼び捨てにされ、豚玉に使う三枚肉ぐらいしか思い浮かばぬぐらい、

なんだか軽んじられた存在だった。


とんかつ旨い!と知ったのは、東京日本橋でとんかつ屋の小僧にバイトで入った頃。

「とんかつ吉兵衛」は、実に頑固な主人がいて、届けられた肉が気に入らなければ

カミナリ落とし、肩ロースの塊りを突っ返した昔かたぎ。


近年、関西でも銘柄豚を使うとんかつ屋が増えたけど、

昔からの東京とんかつを思わせる店は、そうはない。

 





ここ神戸元町。  メインストリート元町商店街は人影まばらだが100年を超す老舗が並ぶ。

三宮がメインになっているのはずっと後の話で

神戸はこの元町が中心。 神戸月堂やユーハイムの本店はここにあり。







元町「とんかつ やまと」

この辺のとんかつ屋は、大和に武蔵と、さすが港町神戸。

海国ニッポンだなぁと思ったが、軍艦とは関係ないようで。







やまとは正しい家族経営。

人件費を単価に上乗せされることもない。

親爺が鍋の油の前に立ち、その具合に合わせて、

お母さんと娘がご飯をついだり、汁を温めたりする。

キューピーが各テーブルにドンと置いてあるのもご愛敬。







まずお茶とたくあんが出てくる。

注文は「とんかつ定食」は900円に決めている。

専門店でこれはお値打ち。ゴマ擦らされたりする店はもっと高い。

よって周辺のサラリーマンにも人気が高い。







カリッとキツネ色に揚がったところを少し休ませ、

ザックザックと5つに切り分けて出てくる。

キャベツだって手切りなんだぜ。

大阪みたいに、ちまちまと小皿のソースにつけたりしない。

ソース瓶から直接衣にドロドロドロ・・・とかける。

和辛子もたっぷりつける。油と一緒になると、意外なほど辛味は立たない。

こういう質実剛健タイプこそが、東京スタイルなのだ。







これぐらいの揚げ切り。 

神戸は中華が早くから発達していたから、いい豚肉もある。

でも良い肉だからって余りピンクなのはいやだね。

ロースはきれいにそうじされているが、甘味となる脂はあえて落とさない。

脂にいやな癖などなかった。

大口あけてカツを頬張り、そこへすかさず飯を行く。







ご飯は固すぎず、柔らかすぎず。 いい感じ。

白いご飯はなるべく少量ずつ一日何回も炊くのが、客思いだ。

とんかつでビールもいいが、やっぱり白いご飯に勝るものなし。

つまり、とんかつとは和食なのだ。

主人はかつて東京築地でとんかつ屋を出していた。

我が修業先は日本橋三越前だったから、ほぼ徒歩圏内。

同じ東京とんかつのニオイがぷんぷんして、嬉しくなった。








味噌汁も手抜きはない。

ボクの修業先はしじみの赤だし一辺倒だった。

あれはあれで、脂っこいものにはバツグンだったが、

ここのは豆腐にわかめの具がいっぱいで

おかあさんの客への愛情を感じてしまう。







和食だからといって、変に和風や民芸調で来たり、おつに澄ましたものはいけ好かない。

野暮ったさを残した、パワーみなぎる剛速球だからいいのだ。

「よ~し、昼とんかつ食ったしな、午後はガ~ッと飛ばすよ!」と

気合入るようなメシ、そういうとんかつであってほしい。







元町で40年。 

親爺さん、すっかり東京より神戸の方が長くなった。

お嬢さん(既婚)の、さりげないが頬笑み絶やさぬサービスも感じがいい。

この感じがいいっていう距離感ってのは案外と難しい。

壁に40と貼ってある下はたぶん30と書いてあり、

この上に50、60と貼り替えて行くつもりなのだろうか。 

どれだけモノ持ちええねん。


コメント (2)
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