馴染みの居酒屋に寄る前に、息たえだえの旭通り商店街が
気になり、ちょっと右へと折れる。
通称アポロ裏。この先にジャズ喫茶しぶんきゅうふがあったり、
これ抜けて、飛田遊郭へと向かった。
昼間はこんな感じ
引くと、こんな感じ。荒れたアーケードが寒々しい。
もうほとんどの店が仮店舗に移っている。
ここは人気の立ち飲みだった。
奥は、赤帽みんみんが営業中だ。
一歩裏へ入れば、フェンスに防塵シート。
かなり取り壊しの工事が進んでいる。
向こうに見えるは豪華客船のような近鉄百貨店。
この辺、小さなしもたや、飲み屋があった。
今から30年前でももう古びていたが、古いアパートなんか
いくらもあって、昼なお暗いような影の中に、
信じられないような共同炊事場がポツンとあったりして、
おばちゃん達の笑い声が、幻のように聴こえた気がした。
この辺に近鉄は日本一ののっぽビルを建てるというのだが。
早晩追い抜かれて、霞ヶ関ビルみたいに埋もれてしまい、
話にも上がらなくなるだらう。
現代のビルディングの古びたヤツだけは風格が出るでもなく、
妙に寿命が短く、始末が悪いように思う。
阿倍野ルシアス、市大病院方向をのぞむ。
阿倍野グラントゥールというマンションだけがニョキッと建ち、
あたり一面、睥睨してやがるのも気に障る。
こんな人造の街にしてしまって、どうするつもりなんだろう。
界隈に住んでた人はマンションにたぶん優先的に入れられて、
人情がなくなった、とボヤいている人も少なくない。
寒々した気持ちのまんま、いつもの居酒屋へ。
阿倍野区阿倍野筋1丁目あたり