blog 福祉農園通信・龍神伝心

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稲作と畑作は異業種

2007-10-22 | 風の備忘録 
スガノ農機相談役の菅野祥孝さんの
「積年良土」の提案は
注目に値すで一部を掲載します。
土を考えよう 土中環境を整えるということ
有機物循環農法
 「土を作る」というと、堆肥や残渣物等の有機資材をとにかく大量に土中に入れれば良いと考えている方もいます。でも、はたしてそうでしょうか。
私たちだって、体に良いからと野菜ばかり食べていても元気にはなりません。
バランスの良い食事と適度な運動、そして休息が必要です。

 土の中においても様々な生物が複雑に関わりあっています。
良質な作物を沢山作っている方のほ場を訪れると、沢山の生き物がいることが分ります。
害虫とされる虫もいますが、天敵となる虫や鳥もいるのでほとんど害は出ないそうです。
 土の中も同じです。目に見えにくいものに私たちはほとんど注意を払ません。
でも、そこには確かに多くの営みが繰り広られているのです。
小さな虫や微生物、そして植物。皆それぞれが関わり合いながら生きているのです。
そしてそれらが良い状態で生きていくには水や酸素が必要なのです。


「土をつくる」というのは、
これら小さな生き物たちが元気に生きられるよう、生活環境を整えてあげること。

 農薬や化学肥料が全て悪いというわけではないのです。
有機資材も単に投入すれば良いというものではなく、投入の仕方、耕起の仕方も大きく関わてきます。

全てはバランスと調和なのです
スガノ農機相談役の菅野祥孝さんの「積年良土」の提案
農業と工業

 畠に筋を切り、良い種子を選び、数量、間隔、深さ等を決め、適期を逃さずに蒔き、覆土し鎮圧することが播種作業です。
 作物の種を蒔くという、この一つの仕事をとってみても農業は永い経験を活かした人知が込められていることを思い知らされます。

 農業は、目に見える地上部だけでも気象、
土質、地形、前作物、雑草、鳥、昆虫、病害等、自然との利害混然の中で行われています。
さらに目に見えない地(土壌中)には地上部に勝る奥深い世界が広がっているはずです。

 農業は一つの自然破壊かもしれません。
しかし、ひとは農地を拓くという自然改造を行いながら、永い歴史をかけた試行錯誤の中から最も自然との連携がとれるかたちで作物を育て、収穫する「業」として農業を創っきました。

 「工業は物を造る」「農業は育てる」この違いを認識することこそ農業の経営を考える基本ではないでしょうか。
 しかし、現代の農業は一つの作業を単なる工程としか考えない、言わば「原料とエネルギーと生産手段で物を造る」という工業的な発想様式の中に取り込まれ過ぎているのではないでしょうか。
 一割の「種を蒔くために耕す」のではなく、九割の「自然との連携をより永続、拡大の仕組づくり」をするという目的のためにこそ、耕すものでなければならないと考えております。

 工業も商業も目的は市場の創造であって、収奪ではありません。
お客様にどのような便益を提供し得るで他社との差別化を競う訳です。
その為の経営資源をどのように育て、集め、蓄積し、そして活かす。
その仕組み創りこそが経営であります。目に見えない部分とは、お客様が決める信用という最大の財産に支えていただく部分と考えるのであります。

 農業の見えない部分、即ち地味豊饒な大地こそ繁栄の「鍵」であると思います。
 自然との連携を省みながら饒な農地を育てて行く。
そこからは農薬汚染がなく、養分豊か、食味良好、品質高価、まさに市場無限にして低コストな農業が生まれること必定。
自らの位置を確立し自主経営を創り出していくための根幹こにありとは言えないでしょうか。

砂漠をオレンジの森に

稲作と畑は異業種

 今、農産物の為に化学肥料、農業、農業機械燃料等の形で使われるエネルギーの総量は、植物体が吸収する太陽エネキーを大幅に上回り、消費者はお米や野菜の形をした石油を食べている、と極論する人さえおります。どうやら私たちは間違った道を歩んできたようです。
 そこで私は「積年良土」を提言したいのです。年を重ねるごとに基本である土が良くなる。
そして経営が益々良くなることを願う、儲かる農業への戦略です。
 

下表は畑作と水田での10アール当たりエネルギーの収支の比較表であります。
表1  10アール当りのエネルギー収支比較表
水田
トウモロコシ
水稲
年間投入
カロリー
化学肥料
170,000kcal(25.9)
162,000kcal(24.7)
燃料
168,000kcal(24.0)
167,000kcal(25.4)
634,000kcal(100)
657,000kcal(333)
年間産出
カロリー
子実
45,000kcal(71)
2,160,000kcal(333)
葉茎・根
980,000kcal(226)
1,430,000kcal(226)
資料の出所
ミシガン大学
ホーグストローム教授
京都大学
川村名誉教授
それぞれ研究手は同じですが、気象条件等の違いがあることを含んだ上でごらんください。まず水稲について見てみますと子実だけの比較でも産出216万キロカロリーが投入65万7000キロカロリーの3倍を超えています。
いかに付加価値の高い作物であるかが解ります。
一方、畑作のトウモロコシでは投入63万4000キロカロリに対し、産出 45万キロカロリーで7割しか戻ってきません。
子実比較では3割の赤字となります。
畑作物では葉茎や根を鋤込んで還元させないと、良土になるどころか単年度で畑の土は収奪され荒廃してしまうことは明らかであります。
水稲作と畑作の経営は異業種のごとく大きな差のあることをまず知るべきであります。
 私が提案申し上げる「積年良土」には、5つの骨組みがあります
第1:脱売上思考、挑む収益思

第2:脱化学肥料万能、挑む緑肥作導入

第3:脱土壌消毒、挑む生態系連

第4:脱過粉砕、挑む耐水団粒
第5:脱収奪・荒廃、挑む生命産業

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