日本ボランティア学会カフェ・プロジェクト in Tokyo実行委員会が開催する
カフェ連。
今回の語り手は、
「BIG ISSUE」 日本版の創者佐野章二さん
英国で始まったホームレスの人だけが販売でるユニークな雑誌
『BIG ISSUE』。
その日本版は03年9月から大阪で販売を開始。
現在、北は青森から南は広島まで全国10都市にて行われ、
「雑誌は売れない」と危惧する声もなんのその、
06年8月までの実売数は169万冊を超えています。
ビッグイシューからみえてくる現代社会の様相や課題の変化、
そしてそれらと市民としての私たちの暮らしとのかかわりや私たちの責任をどうみていくか。
そんな切り口から、佐野さんは、ビッグイシュ日本版創設から現在にいたるまでの経緯と、
それからの展開についてじっくり話してくれた。
「格差という生半可な事態ではなく、
社会は崩壊の危機に直面しているのでは」という佐野さんの指摘があった。
見沼で農園活動をしていると社会の崩と同時に社会の土台である
自然環境の崩壊を肌身に感じる。
優勝劣敗の「格差社会」の進行は、崩壊する地球環境の中で、
生存のために残された余地を争うチキンレースのようにも見える。
その根底に「敗者」を排除すべしとする「優生思想」が横たわっている、そう感じる。
今回は明治学院大学教養教育センターの協賛をえて明学大白金キャンパスで行われた。
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福祉農園スタッフも多数参加した「カフェ連」
「cafe連」は講演会ではなく、その身上は「インフォーマル」と「双方向性」 |
日本ボランティア学会代表 栗原彬先生の福祉農園への感想
猪瀬さんに車で連れて行ってもらって、見沼田んぼ福祉農園に降りた時にですね。
フラットな広がりがずっとでていたでしょ。
空が遮るものがないんですね。あの空間って、いい感じ…と思っていた。
それで足元に目を向けてみると、土がすごくいいんですよ。きめ細かで。
粒が、篩いにかけたみたいな感じの土がずっと広がっていた。
そこでずっと畑を見ていたら、これ、何処かでこの感じあったなって。
すぐ思い出したのは山形県の高畠に行ったときです。
有機農業の里なんですが。その時の感じというのは…。
高畠に立教大学の学生を連れて、毎夏、援農に行っていたんです。
その援農の場所で、浅草出身の福島大学の獣医学部を卒業した男に出会った。
「浅草が更地になっちゃって、自分がずっと育ってきた露地がなくなっちゃった。
露地がなくなったなら何処へ住んでも同じだ」ということで、
彼は大学を卒業したあと、
かなりいい加減な感じで当て所もなく福島県と山形県の県境の峠を越えて、
山形県に入った。
そして、偶然、高畠に入った。そしたら、ここに露地があると感じた。
彼は高畠なんていう地名も聞いたこともなかった。
街の人に話しかけたら星寛治さんという人がいるから、
そこに行って話を聞きなさいと言われて、星さんと出会って、
それから、高畠に露地があったので住もうと決めたって言う。
僕らが泊まった民族資料館に小さい部屋があるんですが、
そこに彼は閉じこもって町役場の試験を受ける勉強をしていた。
その翌春の試験で、その町役場に就職できたんですね。
思いがかなった。その思いがかなう前の彼に出会ったのですが。
その時の「露地がここにある」って、あぁなるほど、と思ってね。
僕も小さいときに練馬に住んでいた時があって。
練馬で露地という感じを覚えていたものだから。
それで、露地という感じを言われてものすごいよく分かった。
それで話の続きを言えば、今日、福祉農園で感じたのは、露地感覚。
すごく、その意味では、いい感じでした。
自分がすごくいい感じでいられた。
この場所はとても好きだなっていう感じだったですね。
土のきめの細かさというのは、
多分、そこに来る人たちの思いがこもっているんですよ。
それが、そういう、いわば露地空間をつくっているわけでね。
だから、そこに実際には働いている姿は見えないんだけれど、
そこに集う人たちっていうことを感じました。
2007年1月31日見沼南部領辻福祉農園にて
見沼田んぼ福祉農園通信