佐藤愛子さんの「私の遺言」という本を、文庫本で入手した。彼女はもともと、霊界なんて信じなかったのだが、北海道に山荘を作って以来、霊が起こすと思われる現象をいろいろ体験して、人生観が変わったという。
異常な現象に、霊界と通じているといわれている人々に相談、アドバイスをうける。肉親であったり、祖先であったり、いろんな霊が登場する。
テレビタレントなどにも、スタジオに霊がいる、私にはみえる、と公言する人もいる。
異常な物音をたてたり、物がなくなったり、いろんな現象が書かれている。アドバイスをする人は、確信をもってというか、霊がみえるとして、具体的に、誰某がそばにいるとか、今、何をしているとか、具体的にいい、対策として、塩巻きやら、お題目をあげろとか、線香をあげろとか、様々に言う。
今日、この本を購入したばかりで、全部を読んだわけではないが、これは、フィクションではなく、ノンフィクションのスタイルで書かれている。
ウソかマコトか、証明できないから、なんともいえないが、そういう体験がまったくないから、どうしてもマユツバとしか思えないのだが、それでも、守護霊がいるなどと言われると、亡くなった叔母のことを思いうかべたりして、それも何度か、そうしているうちに、そんな気にもなる。叔母が助けてくれているという感じをもったりする。
霊界があって、あるかのように、言うことがどういう現象、意味をもたらすかといえば、そこにビジネスがからめば、そのことで、稼ぐことは可能だろうし、事実、結構稼いでいる風である。
自分は体験できないけれども、この異常現象に悩まされる人は、幾ばくかの出費は免れないだろう。いや、よろこんで支払うことになるかもしれない。
また、この世で、悪辣な行為をしている人間、人を陥れ、騙し、くいものにする人間どもには、天罰を加えることとなるから、この世とあの世で、あわせて公平でいいのかもしれない。
佐藤愛子さんは90歳を超えているのだから、いまさら、財をなしたいとか、有名になりたいとか、俗な欲望とは、無縁の方だろうから、本当のことを言われているのだろうと思われる。
だがそれでも、そうならそうで、もっと霊の皆さんは、はっきりと「解るように」登場してくれた方がいいと思うのだが、見えるものと見えないものに、わけたり、ちょっと理解できないのが正直なところである。