斑鳩歩きから発展し、
太子道を歩き始めている。
距離的にはさほど長くはないのだが、
聖徳太子が黒駒に乗って通った道を、
同様に景色を眺めながら
プラプラと歩くのは何となく
太子と同行二人みたいで面白い。
聖徳太子は
「ああ、今日の法隆寺建設はうまく進むかなあ。」
「人々の暮らしをもっとよくする
法律をもっと考えなくては」
なんてことを奈良県西部ののどかな道を
かっぽかっぽと進みながら
考えていたのに違いありません。
doironも、わずかに残っている
カレンダーの作品を「何かこうかなあ」
「どんな言葉にしょうかなあ」なあんて
考えつつ歩いていれば、
いい作品につながるかもわかりませんねえ。
太子とともに歩く「太子道」は
飛鳥から法隆寺までの間を、
大和盆地を斜めに歩く
別名「筋違道」という名でも
呼ばれています。
この道を、今回は南の出発点である
飛鳥から飛鳥川に沿って
歩いてみることにしたのです。
日にちはどうしようかと思ったのですが、
奈良の友達とゴールでいっぱい飲める日を
選んで設定しました。
歩く距離を考えて、
スタートは午後くらいで十分です。
飲み会は夜ですので、
それでも結構な時間を歩くことになります。
では近鉄南大阪線に乗って、
飛鳥を目指しましょう。
南大阪線ということは、
かつてdoironが一番働いた
職場の横を通りますよ。
車窓を眺めながらのんびりと向かいましょう。
飛鳥まで行くとなると、
近鉄電車はよく考えていますねえ。
特急券のいる特急電車が最も便利で、
それ以外だととても時間が
かかるようになっています。
でもねえ阿倍野についたのが、
その特急電車が出た直後だったので、
ここは迷わず準急に乗って出発しました。
阿倍野から懐かしい景色が続きますねえ。
そう考えたら、通勤手段の
ひとつだったこの電車も
太子道同様にdoiron道でありますねえ。
あああの川は水質浄化に苦心したなあ。
あの田舎道はよく仕事で通った道やなあ。
あ、この家に住んでいる人は
口うるさいおっさんやったなあ。
などといろいろ考えつつ
揺られていきます。
そういえば聖徳太子も
「この川ももっと水の流れを良くしないとなあ」
とか
「この地域のおっさんは口うるさい奴やったなあ」
とか考えながら歩いたのですかねえ。
藤井寺駅を過ぎると、
準急は各駅停車になります。
座席はちょうど席の半分くらいが
埋まるくらいで快適です。
二上山、當麻寺なんかを見ながら
進んでいきますが、
この時ちょっと事件が・・・。
doironから左にひとり分の
スペースを開けた感じで、
高齢者のおじさんが座っています。
おお~電車はおっさんと
同行二人やなあと思っていると、
そのおっさんが居眠りを始めたのです。
そ、そしてなんとこちらに
傾いてくるじゃありませんか。
若い女性とかだったら
胸ときめくのになあ、
なんて考えてるとますます傾いてきます。
これはやばい。
高齢者にもたれられたら、
おっさんとおっさんの
ラブラブ電車です。
もう想像もしたくない異常な
光景が予想されます。
駅に着くたびにおっさんは
目覚めて姿勢をただすのですが、
動き出してしばらくするとまた傾いてきます。
いくら認知症サポーターである私でも、
こんな公共の場でその力を
発揮するわけにはいきません。
これはいかんぞと、
ひざの上に置いているリュックを
間に置いておくことにしました。
これで何かあっても、
私のおっさんとしての尊厳は
守れるぞと一安心です。
ようやく終点の少し前の駅で
降りていかはりましたねえ。
おかげで、途中の車窓の景色を
ゆっくりと楽しむことはできず。
えらい目にあってしまいました。
この電車の終点の橿原神宮につき、
ここで乗り換えです。
もうすぐ飛鳥駅というところで
一話終わりです。
続く。