ハブ ア ナイス doi!

いつまで続くのかコロナとの戦い。
全て解放されて、もっと、もっと
心から楽しまないとねえ。

写経

2007年11月14日 23時21分48秒 | 最近の出来事
写経道場はさすがに静かだ。
受付を済ませて、
写経部屋に通された。
作法などを説明してくれる人も、
ひそひそ声だ。

部屋の受付で、
まず身体を浄化するという

「丁子」

の実を口に含む。
マッチ棒くらいの太さで、
長さは1cm程度の茶色い実だ。
かすかな味が口に広がる。
これは成分を摂取すると同時に、
口に含むことによって
あまりしゃべらないようにという配慮なのではないだろうか。
ふすまを開けると数人が座っていた。
最後部に置かれた香像をまたいで入場。

席は椅子と正座の2種類あるが、
迷わず正座を選んだ。
その方が風情があるやんな。
座卓に置かれた心得を読み、
心静かに備え付けの墨を磨(す)り始める。
それにしても墨を磨るなんて何年ぶりだろう。
どれくらい磨れば墨になるのかもよくわからない。
適当に磨って、
緊張の一文字目「摩」に筆を落とした。
よしよし、
この濃さで十分だ。
見本を透かしてひと文字ひと文字に心を籠めて書き進めていく。
下手でも、
線の一本ずつを丁寧に描いていくのがコツやね。
それと姿勢。
ぴんと背筋を伸ばして、
筆を立てると不思議に線が整っていく。
そして3行ぐらい書き進めたところで、
来た来た来たあ~。
脚の感覚が徐々に消えていき、
その後次第に痛みが増幅していく。
5行目くらいで耐え切れなくなった。
一度お尻を浮かせてみた。
ただそうしてじっとしているのも変なので、
中腰で
追加の墨を磨ったり、
窓の外の庭を眺めたりしてみた。
あとで分かったが
ジーンズをはいていったので
正座時に膝の裏でしわになり
それがこすれて
傷になってしまったようです。
それがこれ。


ちょっと見苦しかったかな?

その後は、
一行ごとにそれをしながら約一時間半。
最後の「経」を書き終えたときには、
目が疲れ、腰が疲れ、脚の感覚もおかしくなっていたけど、
不思議と心は澄んでいたな。
よく出てきた文字は「空」と「無」。
前半は比較的易しい文字だったが、
後半は難しい文字がたくさんあった。
初めて書く漢字もいくつかあった。
筆に墨をつけるので、
へんとつくりを分けて書くことが多かったから、
漢字の成り立ちも幾つか気になった。

なぜ「婆」は波の下に女なんだろう。
世間の荒波を下で支えているからなのか。

また、「触」が角に虫なのは、
微かにふれるような意味なんだろうか、

「明」が日と月なのかはわかるが、
何故月の方が大きいのか
単なるバランスの問題?

みたいにね。

そしてまた作品全体を大きく眺めてみると、
最初はおっかなびっくりの筆遣いだったが、
中盤は結構うまく書けたかな。
しかし、
最後のほうはゴールが見えて少し雑になっていたな。
作品がこれ。



一枚の紙に記された文字の意味、
文字の形、
線の強弱が表すものは
その人の心の有様?
ま、そんなことをいちいち考えるのは、
般若心経の心である「空(くう)」に背くよなあ。

しかし楽しかった。
書き始めて一時間半。
ひとレースを終えたような充実感がありました。

次の正月には、書初めでもやってみたいなって
思っている今日この頃です。