雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

月と詐欺師

2013-08-21 22:49:29 | 

赤井三尋著"月と詐欺師"を読みました。
詐欺師集団が大掛かりな詐欺をしかけ成功する話です。
時代は第二次世界大戦前です。
瀬戸俊輔は東北の禅寺で修行していました。
大阪の大きな商店の息子でしたが両親が騙されて株で
失敗しました。
瀬尾財閥の瀬尾儀一郎が俊輔の姉を見かけて愛人に
しようとして騙したのです。
両親、続いて姉も自殺してしまいます。
俊輔は儀一郎に復讐しようと還俗して大阪に戻りました。

大阪で春日という男に出会います。
父にもらった掛軸が1万円で売れました。
春日は自分は詐欺師だ、儀一郎を詐欺でお金を奪う
だけでなく破滅させてやると六千円で引き受けます。
仲間には声帯模写が得意なミミック、情報収集能力に
長けたインテリ、女性を思うように手玉にとるジゴロ、
女性の知恵がいます。

瀬尾財閥はいくつもの会社を持っています。
儀一郎は横暴で部下の意見を聞くことはありません。
社長の一人の瀬尾電気の小山内は儀一郎にはっきり
意見を述べたため首になってしまいました。
それだけではなく特攻警察に嘘を告げ逮捕され拷問
されるよう仕向けました。

小山内も仲間になりました。
瀬尾財閥は財閥とはいえ弱小です。
軍部に取り入って大きくなりたいと必死です。
賄賂をばら撒いています。

小山内は儀一郎が軍部へ売れると飛びつきそうな技術の
レーダの論文を作成します。
論文が落し物として儀一郎の手に渡るように仕向けます。
儀一朗は食いつきました。
論文は京大の教授が書いたことになっています。

お金を巻き上げることと平行して贈賄罪で逮捕されるよう
画策します。

この大掛かりな仕掛が計画され次々と実行されていく様が
どうなっていくのだろうとおもしろいです。
計画は中止に追い込まれそうになりはらはらすることも
あります。
この部分が読み所です。

もちろん成功します。
そして最後にそうだったのかと仲間さえ知らなかった秘密が
明かされます。
おもしろかったです。

俊輔と智恵は結婚しアメリカへ渡り教授として日本へ
帰ってきます。
戦後に会うことができた仲間は…

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