雑記帳

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お師匠さま、整いました!

2017-08-30 21:00:00 | 

泉ゆたか著"お師匠さま、整いました!"を読みました。
小説現代長編新人賞の受賞作だそうです。
作者の最初の本です。

桃は十五歳の時に六十ぐらいの算術家の清道に嫁ぎ
八年を一緒に過ごしました。
桃は特に学問をしたわけではないのですがこの間に子供達
に読み書きや算数を教えるようになりました。
子供は五歳ぐらいから10歳ぐらいの子たちです。
清道は亡くなり桃は引き続いて子供たちに教えています。

寺子屋のある場所は茅ケ崎の寺です。
小田原から15歳の春という娘が両親を川の増水で亡くし、
もう一度勉強がしたいからと桃の元へやってきます。
春は両親と酒匂川の畔で七輪で焼き物をする店をしていました。
寺子屋には九つになる大きな商店の娘の鈴が通っていました。
生意気で利発な学問好きな子です。
春は小さな子に混じっておさらいおさらいから始めます。
鈴は春に対抗意識を燃やしています。

桃はすぐに春の算術の才能に気づきます。
鈴も算術に意欲を持って取り組んでいます。
彼女らは桃の知識を超えていると感じます。

大岡越前が量地術を学ぶ私塾に通う子を探していると
和尚から聞いて桃は春を推薦します。
桃の幼馴染の大工の平助も見込まれて春と共に小田原に
通うことになります。
鈴は自分が推薦されなかったことに怒っています。

鈴は寺に算額を奉納することに意欲を燃やします。
桃は自分も学習しながら鈴の才能を伸ばすよう努めます。

春と平助が通っている塾の目的は氾濫を繰り返す酒匂川を
治めることです。
座学のみではなく彼らは実践しています。

主人公は一人というのではなく桃、春、鈴と三人という
感じです。
それぞれ成長していきます。
自分より能力のあるものを導くのはかなりつらいでしょうね。
まだ幼いのに学問へがむしゃらにむしゃぶりついている鈴。
これだけ学ぶことに夢中になる子を持ったなら現代の
親なら大喜びでしょうね。
鈴の親たちも応援してくれてはいます。
でも江戸時代の女性には能力を生かしていく場はあるのかと
少々心配になります。
でも求めれば開かれますものね。
春は自然と道が現れる人みたいです。

おもしろかったです。

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