雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ゆくとしくるとし

2012-04-14 22:15:11 | 
大沼 紀子
マガジンハウス
発売日:2006-11-22

大沼紀子著"ゆくとしくるとし"を読みました。
中篇の二編です。

"ゆくとしくるとし"
一年ぶりに実家に帰ると、オカマがいた。
という文章ではじまります。
トリコのお母さんは看護師でしたが今は家を改造して
助産院を開業しています。
オカマはミカ姉と呼んで欲しいといいます。
トリコは行くのが嫌で大学をさぼっています。
トリコの実の母は病院でトリコを産んで逃げました。
看護師の母が養女にして育てました。
ミカ姉は明るい人です。
トリコの母の元で暮し妊娠と出産の擬似体験をしたのです。
実家でミカ姉と母とお正月を過ごしトリコは帰って
いきます。
何か変化はあったようです。
大学は留年しましたが卒業し就職しました。
お正月は東京でお店をやり始めたミカ姉といっしょに
実家へ帰ります。

"僕らのパレード"
大島サムという小学生が語る形式で書かれています。
母は子供たちに自分をミーナと呼ばせています。
何度も結婚し、同棲した人も幾人もいます。
子供達は四番目のお父さんをよんちゃんとよんで
なついていました。
よんちゃんいつかいなくなりお母さんは別の人と結婚し
家族は岐阜へ引越しました。
サムが小学二年の時です。
そのころ中学生のお姉さんは突然しゃべらなくなりました。
サムはいなかの生活になじんでいきます。
学校の近くでパン屋をやっているアヤエと知り合いました。
パンの作り方を習うため店に通っています。
アヤエは心に問題を抱えていて外を自由に歩けません。
糸を伸ばしながら先へ行き糸をたどって戻ってきます。
観音崎先生はいつもサムを立たせる恐い先生です。
先生は翌年に定年になりました。
先生はアヤエの先生でもありアヤエのことを心配して
パン屋へ現れます。
サムは6年生になりました。
お姉さんは突然しゃべりはじめました。
そして家出して東京へ行ってしまいました。
サムはショックを受けて忘れていたことを思い出しました。
おねえさんがしゃべらなくなり、突然話し出したことと
関係あります。

たんたんとしたなんでもないような日常的な話です。
こういう種類の話は本来は苦手なのですがどういう
わけかこの本は好きです。
大沼さんは"てのひらの父"の作者さんです。
てのひらの父が気に入ったので同じ作家さんだと
いうこともあると思います。
先に読んだのがこの本だったなら好きになったか
どうかわかりません。

トリコとミカ姉や母との交流
サムとアヤエや先生やその他の人々との交流
なんかいいです。

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