スティーブ・ラーソン著"ミレニアム1 ドラゴン・
タトゥーの女 上下"を読みました。
スウェーデンの作家さんだそうです。
英語圏以外の本って珍しいです。
あとがきにフランス語に翻訳されたものを日本語にし
それとウェーデン語の物と較べて手を加えたと
書かれています。
主要言語以外のものの翻訳はたいへんでしょうね。
数日前の新聞にいずれAIが自動翻訳していろんな国の
本が読める時がくるでしょうなんて書かれていました。
きっとそんな時がくるのでしょうね。
ミカエルはミレニアムという経済雑誌の発行人です。
実業家ヴェンネルストレムの不正を暴く記事を載せ
ましたが、名誉棄損で罰金と禁固刑の判決を受けました。
リスペットは警備会社の若い女性調査員です。
ヘンリック・ヴァンゲルという大企業の前会長から
依頼を受けミカエルの身辺調査をしました。
ミカエルは判決を受け会社から一時去ることにしました。
そんな時にヘンリックから仕事の依頼を受けました。
兄の孫のハリエットは40年前に行方不明になりました。
必死で探しましたが今だに見つかっていません。
ヘンリックは彼女は殺され、その犯人はヴァンゲル一族の
誰かに違いないと思っています。
ヴァンゲル家の歴史を本にするという表向きの仕事と
ハリエットがどうなったかの真実を調べる仕事とを
引き受けることになります。
リスペットは問題を抱えています。
世間とは馴染めない子で精神病と診断され病院に収容されて
いました。
彼女を信頼してくれる弁護士に出会い、彼が後見人となり
良好な関係を築いてきました。
彼が病気で倒れたため別の弁護士が後を継ぎました。
この男は悪徳というほかない人物で弱い立場の彼女を
レイプし、思いのままにしようとしました。
しかし誤ったのは彼女が弱い人間ではなかったことです。
黙って思いのままになるような彼女ではありません。
ミカエルは調査の過程でリスペットが自分を徹底的に調べて
いたことを知ります。
そして今回の調査に彼女を引き込みます。
彼女は中学も卒業していませんが、驚くべき才能の持ち主です。
コンピュータの知識は並外れたものがあります。
見たものを瞬時に覚えることもできます。
40年間ヘンリックが徹底的に調べたことを解くことが
できるわけがないと嫌々始めたミカエルですが新しい
展開が開けました。
実に恐ろしいことがわかってきます。
事件は現在も続行していました。
ミカエルは窮地に立たされます。
女性に対する侮蔑的な出来事はムカッとします。
強姦し、暴力を振るい、限りなく苦しめて殺害をすると
いう本のなんと多い事か。
そういうことしていいんだって教えているみたいに
思えることがあります。
ミカエルもリスペットもとてもおもしろい人物設定です。
特にリスペットは興味深い人物です。
こんな有能な人物が後見人の許可がなければ自分のお金でさえ
引き出せない状態に置かれているなんて理不尽です。
自分を傷つけようとする人は殺すと明確な信念をもっている
リスペットは雄々しいです。
おもしろかったです。
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