中澤日菜子著"お父さんと伊藤さん"を読みました。
家族の話です。
彩は32歳、本屋でパートで働いています。
20歳年上の伊藤さんといっしょに暮らしています。
コンビ二でいっしょに働いていた時に知合いました。
伊藤さんは今は小学校で給食調理補助員をしています。
お父さんは元小学校の教員です。
兄嫁の理々子が父を強引に同居させました。
父とも兄ともずっと会っていません。
理々子が父との関係で精神的にまいってしまったので
彩の家に住まわせて欲しいと兄から連絡があります。
断りましたが家に帰ってみると父はやってきていました。
いっしょに暮らすことになります。
仕事に出ていますのでいっしょの時間は多くありません。
父は一日中家を出てどこかへ行っています。
母が生きていた時家族で父の故郷の長野の家に行った
ことがあります。
すでにだれも住んでいない家ですが掃除して寝袋で
過ごしました。
理々子は父に会っただけで嘔吐するほどです。
父には問題がありました。
父は家出をしました。
伊藤さんに言われて彩と兄は父の跡を追っていきます。
なんともやるせない家族ですがこんなものなのかも
知れません。
お父さんのところへ昔の教え子が訪ねて来る場面が
あります。
しゃんとしてとても楽しそうに昔話に時を過ごします。
教え子達に好かれているのです。
それなのに自分の子供達とは心を通わせ合わせて
いないとは残念な関係です。
伊藤さんは突然割り込んできたお父さんをすんなり
受け入れています。
なかよくするわけではありませんが嫌ったりじゃまに
したりしません。
自然に接し兄弟と父との仲をさりげなく支えてくれます。
最期はなんだかあっけないですが、これが一番いい
方法かもとは思います。
いろいろあったことはこの親子にとってよかったのだと
思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます