百瀬尚樹著"輝く夜"を読みました。
クリスマス・イブをテーマにした5つの短編集です。
ちょっと季節はずれですね。
童話のような物語です。
"魔法の万年筆"
イブの日にリストラされた恵子は待ちを歩いていて
目にしたホームレスに食べ物とお金をあげます。
ホームレスが願いが三つかなう鉛筆をくれます。
"ケーキが食べたい"、"弟の会社が立ち直るように"、
"隣の男性がスターになれるように"と書きます。
3つの願いは、かない彼女は幸せになれるでしょう。
たぶん。めでたしめでたし。
"猫"
イブの夜派遣社員の雅子は社長と二人で残業していました。
雰囲気のいい会社です。
彼女が拾って飼っている猫の話がでます。
片目で死にかかっていたところを拾いました。
社長は家まで雅子を送ってきます。
迎えにきた猫は社長にすり寄ります。
猫は社長を知っていたのでした。
"ケーキ"
真理子は病院で意識不明の状態です。
まだ二十歳です。捨て子でした。
美容師になりました。
真理子は目をさまし奇跡的に回復しました。
手が動かずケーキ屋さんとなり結婚して子供をもうけ
幸せに年老いました。
そして病院の最初の場面へ戻ります。
そう、病院のベットの上でイブの一夜に一生を生きた
のでした。
"タクシー"
タクシーの中で和美は酔って運転手に話しかけます。
5年前に沖縄旅行で知り合った男性のことを。
スチュワーデスだと嘘を言って付き合い始めました。
本当のことを書いて手紙に出しました。
許してくれるなら会いに来て欲しいと。
でも断りの留守番電話が入っていました。
行方を絶ちました。
行き違いがあったのです。
タクシーの運転手は実は・・・
"サンタクロース"
高校生の息子と年の離れた3人の子供を持つ夫婦が
イブの夜に会話しています。
上の子の父親は彼がまだ母親のお腹にいる時に事故で
亡くなりました。
絶望的になって死のうとさまよっていた時に教会に
行きあたりました。
教会の牧師さんに話を聞いてもらい生きる力を得ました。
教会はその後探しても見つかりませんでした。
どのお話もめでたしめでたしです。
現実はそううまくはいきません。
こんなふうならいいなぁと思います。
クリスマス・イブの夜に読んでひと時暖かな気持ちに
ひたるのにいい本です。
やっぱり今は季節はずれですね。
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