雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ぼんくら

2010-07-01 19:32:10 | 
宮部 みゆき
講談社
発売日:2000-04-20


宮部みゆき著"ぼんくら"を読みました。
江戸時代の鉄瓶長屋と呼ばれる長屋を舞台にしたお話です。
中心的な登場人物は同心の井筒平四郎です。
平四朗はいつの間にか家督を継いで同心になりましたが
気さくな正確で怠け者でいっしょうけんめい仕事を
するんだという気持ちは持っていません。
お徳は長屋の住人で煮売屋をやっています。
長屋の住人が殺されたところから物語は始まります。
その後長屋の管理人に相当する差配の久兵衛が姿を
消します。
この長屋は灘屋の持ち物です。血縁の若者の佐吉が
差配として送り込まれてきます。
差配は年配者がなるもので若い左吉にやれるわけが
ないと抵抗します。
佐吉はそんな中いっしょうけんめい仕事をこなして
いきます。
次々と長屋の住民がいろんな原因で出て行ってしまいます。
これはおかしい、この背後にはないかあると平四郎が
調べ始めます。

弓之助という12歳の美少年が登場します。平四郎の
奥さんのお姉さんの息子です。
子供がいない平四郎の養子にどうかという話があって
毎日のように平四郎の家にやってきています。
まだ子供だけど頭がすごくきれます。人情や世間の
こともよくわかっています。
おでことよばれている少年も登場します。
一度聞いた話を頭の中に格納して求めに応じて頭の
中から呼び出して語ることができます。

最初は短篇の感じで長屋の人たちの話が続きます。
こんな調子で続くのかと思ったら長屋が空になっていく
事件の真相究明の話へとなっていきます。
途中から中だるみみたいな感じになってしまいます。

弓之助や岡っ引の政五郎や黒豆と呼ぶ幼馴染の隠密の
助けをかり真相へと近づいていきます。
そしてこれが真相だというものを見つけます。
でもあまりにもありきたりの真相でこれはもうひとひねり
してあるなと感じました。
やっぱり本当の真相がありました。
でもがっくりしてしまう話です。
こんなことなら一つ前の真相で止めておいてくれたら
まだ納得できました。
話の全体が足元からパラパラと崩れ落ちて崩壊して
いくように感じました。
最後を元に話を振り返るとこんなことありえないと
感じるのです。

この話は推理物として読んだらがっくりします。
登場人物はとてもいい設定で愛すべき人たちです。
この人たちのやり取りを楽しむ読み物として読めば
楽しい本です。

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