雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

家族

2009-09-24 19:11:08 | 
小杉賢治著"家族"を読みました。
裁判員裁判をテーマにしたものです。
事件は1年前ほどから痴呆症の始まった老女が、
家族が家を空けて一人の時に殺されたというものです。
テレビのワイドショーは長男が怪しいのではないかと
連日報道が繰り返されています。
そんな中、ホームレスの男性が犯人として逮捕されます。
ホームレスは犯行を自供し、裁判は楽に進行すると
思われていました。

裁判員になったのはそれぞれ3日間を割いて
裁判に出てくるのは困難な人たちです。
介護が必要な母親がいる人、重大な問題が
あって仕事を離れたくない人、正社員になれるか
どうかの研修中の人など。

簡単に終わると思われていた事件が裁判員の疑問
から思わぬ方向へと向かっていきます。
検察も弁護士も見つけられなかった真実を
裁判員が見つけ出してしまいます。

裁判員裁判が現実に始まりました。
ニュースを見てもこの本を読んでもいまいちなぜ
裁判員が必要なのかわかりません。
本だからびっくりするような方向へ向かっていきますが
現実の裁判で裁判員がいることでプラスに働くことが
あるように見えないのです。

裁判っていったい何のためにあるのでしょう。
真実を求めてというのは本当ではありません。
いくつもの解釈があっても、今ある証拠によってのみ
それが指し示す人が犯人となってしまいます。
なんだか欺瞞に満ちた場所ですね。