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ソウル大学校の高校別合格者数 = 今年も特目高(科学高&外国語高)・自私高が多数

2012-03-19 22:03:34 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 韓国の新学期は日本よりなぜかひと月早く3月から。初等学校から大学校まで、新入生は浮き浮き気分の毎日、かな?

 ソウル大の入学式も3月2日(金)同大総合体育館で開かれ、学部3290人、大学院3812人の新入生を迎えました。
 本ブログでは、2009年10月17日の記事「韓国の進学成績最上位高校の現況」という記事で主にソウル大多数合格者出身高校について記しました。
 その時点で概観した結果は、「特目高・自私高が目立つ」というものでした。特目高(특목고とは、本来的には外国語・理科系・芸術系等の特定分野に重点を置いた高校で、自私高(자사고)(自立型私立高校の略)とは、政府の支援金を受けず、独自の財政・独自の教育課程で運営している私立学校です。

 その後、何らかの変化があったかどうか、2012年度の入試結果が報道されているので、見てみました。

 2012年度のソウル大合格者の出身高校ベスト20は以下の通りです。
 高校の種類を色分けしました。
   ピンク=科学英才学校
   橙=特目高(科学高)
   青=特目高(外国語高)
   緑=自私高
   茶=一般高
   紫=卒業生は一般高だがその後自私高に移行
  ※( )内の数字は2011年度。

①ソウル科学高93(37)
②大元外国語高75(70)
③龍仁外国語高57(44)
④漢城科学高50(46)
⑤象山高47(31)
⑥公州韓一高39(20)
⑦世宗科学高38(49)
⑧民族史観高校36(34)
⑨明徳外国語高35(34)
⑩韓英外国語学校34(27)
⑪韓国科学英才学校33(41)
⑫安山東山高32(33)
⑬高陽外国語高31(28)
⑭浦項製鉄高29(30)
⑮大一外国語高26(36)
⑮現代青雲高26(14)
⑰安養外国語高24(22)
⑰徽文高24(17)
⑲大邱大倫高21(22)
⑳中東高21(20)
※20人以上が合格したソウル芸術高、国楽高、仙和芸術高の3校は除外されています

 この結果に対して、各新聞が分析記事を載せています。
 その内容を見ると、ほとんどが「今年も特目高(科学高&外国語高)と自私高が多かった」というもの。
 一部、「外国語高が減って普通高が増えた」との分析もありますが、前の記事にも記した通り<高校平準化>、つまり日本でいえば総合選抜制の導入で沈下していった伝統校が復活してきたというわけではありません。(地方の「一般高」で高い実績を出している高校は、ほとんどが「非平準化高校」で、広くレベルの高い生徒を集めている高校です。※第12位の安山東山高も京畿道の「非平準化高校」。)

 また、大学入試関係の分析で注目したのは、「「ソウル江南の修能上位圏減少」はなぜ? ・・・「推薦入試拡大で「江南集中」減少緩和」という「コリア・ヘラルド」の記事
 レベルの高い江南エリアの「受験名門高校」をめざして、あの手この手で学区外からの進学を試みたり、進学後も各教科ごとに家庭教師をつけたり塾(韓国では学院(학원))に通わせたり、という江南の受験状況は、ドラマ「江南ママの教育戦争」でも(多少戯画的に)描かれていました。
 ところが近年は修能(修学能力試験←日本のセンター試験に相当)を経ない推薦入試の拡大でようすが変わってきたということです。
※推薦入試を、韓国では<随時(수시.スシ)>といいます。
 つまり、レベルの高い生徒が多い江南の高校に行くと、内申書で上位の成績を取るのは容易ではないので、以前のように越境してまで江南の高校をめざす生徒が減った、ということで、それが「ソウル江南の修能上位圏減少」の要因だ、との分析です。

 前述の高校平準化(総合選抜制)といい推薦入試の拡大といい、この分野でも韓国は日本の後を追い続けているようですね。そのうち大学生のレベル低下が取り沙汰されるようになるでしょう、きっと・・・。

⑧民族史観高校のユニークさについては、2009年10月17日の記事で少し記しました。
⑰安養外国語高は花巻南高校と交流していることが「岩手日日新聞」の記事にありました。「百人一首に取り組んでいるという訪問団生徒が日本の生徒顔負けのスピードで札を取ると、花南生から驚きの声も上がっていた」・・・ということだそうです。

[2014年5月8日の追記] 2014年度のソウル大合格者の出身高校に関する記事は→コチラです。
コメント (2)
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