ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[3月23日(金)~25日(日)]

2012-03-27 18:55:56 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 公開初日3月24日に「カエル少年失踪殺人事件」を観てきました。原題は「아이들(子どもたち)」ですが、事件自体は韓国で「개구리소년실종사건(カエル少年失踪事件)」とよばれてきたので、別に奇を衒ったものではないですね。むしろいいかも。肝心の内容ですが、観てよかった点は事件の概容がわかったこと。ただ、事実の部分とフィクションの部分の境い目がわかりにくいですけど。前半部分で大きな役割を果たすあの大学教授は実在のモデルがいて、昨2011年2月韓国での映画公開直後のインタビューで自身の誤りを認め、遺族に謝罪しています。物語の展開については、韓国のあるネチズンが「2種類のスリラーがおかしな形で同居している」と書いていましたが、私ヌルボも同感です。

 同じシネマート六本木で観た「ピアノマニア」は、調律師シュテファン・クニュップファー氏のドキュメンタリーで、音楽ファンとしてはとても刺激的でした。「丸い」音というのはなんとかわかるとして、「伸びのある」音、「広がりのある」音、「暗い(or温かい)」音とか聴き分けられるものなのか・・・。そんな注文をつけるエマールも、それに応えるクニュップファー氏も、なんという人たちか・・・。エマール以外にもブレンデルやランランのような大物ピアニストが登場する中で、イグデスマン&ジュー(Igudesman & Joo)というコメディスタイルのパーフォーマンスをするヴァイオリンとピアノの2人組を初めて見ました。そのピアノの方のジューが「1、2、3」のかけ声を「ハナ、トゥル、セ」と言ってたので、後で調べたら、イギリス生まれのイギリス育ちの韓国人のRichard Hyung-Ki Jooこと주형기(チュ・ヒョンギ)という人。両親とも韓国人で、夫人は日本人とのことです。2009年に来日しているんですね。相方のロシア人イグデスマンとの楽しいパフォーマンスがYouTubeにたくさんありました。1つだけ紹介します。わかりやすい韓国語で話しています。韓国公演の録画なんでしょうね、たぶん。

     
 【「ラフマニノフは大きな手を持っていた」が、韓国人チュ・ヒョンギ氏は手が小さいので一工夫・・・。】

 昨日(3月26日)の「ハンギョレ」に、光州民主化抗争のその後を描いたカンプルの漫画「26年」が市民の力を集めて映画化再挑戦、という記事が載っていました。この件については、本ブログの今年1月8日の記事を参照してください。

         ★★★ Daumの人気順位(3月27日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①かたつむりの星(韓国)  9.5(26)
②天使の息づかい(韓国)  9.5(22)
③オペラ座の怪人 25周年特別公演  9.4(107)
④最強のふたり  9.2(336)
⑤偕老(韓国)  8.9(30)
⑥ミンク・コート(韓国)  8.9(30)
⑦スタンリーのお弁当箱  8.9(121)
⑧ダンシング・クィーン(韓国)  8.9(1292)
⑨アーティスト  8.9(207)
⑩メアリー&マックス  8.6(51)

 ①、④、⑤が新登場。
 ①「かたつむりの星」は韓国のドキュメンタリー。このランク、ホントに韓国産ドキュメンタリーが多いです。この作品は、全盲で難聴という重複障害者の青年チュ・ヨンチャンさん日常と、妻のキム・スンホさんとの愛情を描いたもの。「カタツムリのように、ただ触覚だけでゆっくりと生きる」というのがタイトルの意味。スンホさんは脊椎傷害のため背丈は小さいが、ヨンチャンを外の世界へ導こうと手を差しのべる・・・。原題は「팽이의 별」です。
 ④「最強のふたり」は昨年の第24回東京国際映画祭で最高賞の東京サクラグランプリを受賞した実話に基づくフランス映画。パラグライダーの事故で首から下が完全に麻痺してしまった富豪と、介護役となった刑務所を釈放されたばかりの黒人青年との交流を描く。韓国題は「언터처블: 1%의 우정(アンタッチャブル 1%の友情)。上位1%の貴族男と下位1%の無一文の男の間の友情、という意味です。日本公開は今年9月とか。
 ⑤「偕老」は、40年以上を共に暮らしてきた夫婦の物語。ある日夫が心臓麻痺で倒れるが、幸い危機は乗り越える。しかし彼は、いつか自分が妻に先立つことになった時を考えて、妻のために小さなプレゼントを用意する・・・。・・・という老夫婦の愛を描いた作品ですが、はたして昨年の「あなたを愛しています」のように多くの高年齢層の心をとらえられるか? (あれは夫婦じゃないしなー。) 原題は「해로」、ケロでなくヘロになるんですね。しかし、今の若い韓国人&日本人、「偕老同穴」なんて言葉知ってるのかしら?

【専門家による順位】

①自転車に乗った少年  8.8(6)
②ニーチェの馬  8.5(2)
③2本の線(韓国)  8.0(1)
④アーティスト  7.8(6)
⑤ファミリー・ツリー  7.8(5)
⑥犯罪との戦争:悪いやつらの全盛時代(韓国)  7.3(6)
⑦ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009)  7.3(3)
⑧ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ  7.1(6)
⑧建築学概論(韓国)   7.1(6)
⑩ヒューゴの不思議な発明  7.0(5)

 今週も新登場はありません。
 ⑧「建築学概論」は先週観客動員数の方で紹介済み。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[3月23日(金)~25日(日)] ★★★

         韓国のラブ・ロマンス「建築学概論」がトップに

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(8)・・建築学概論(韓国) ・・・・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・565,329 ・・・・・・・・・・・716,990・・・・・・・・・5,402・・・・・・・593
2(新)・・最強のふたり ・・・・・・・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・393,907 ・・・・・・・・・・・443,517・・・・・・・・・3,352・・・・・・・454
3(1)・・火車(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・324,708・・・・・・・・・・2,124,041 ・・・・・・・16,163・・・・・・・473
4(3)・・ジョン・カーター ・・・・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・82,574 ・・・・・・・・・・・803,853・・・・・・・・・6,971・・・・・・・258
5(2)・・クロニクル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/15 ・・・・・・・・・・・・・・63,519 ・・・・・・・・・・・359,404・・・・・・・・・2,782・・・・・・・288
6(7)・・Black&White ブラック&ホワイト・・2/29・・・・・・・・・・・・・・49,385 ・・・・・・・・・・・824,207・・・・・・・・・6,295・・・・・・・173
7(4)・・珈琲(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/15 ・・・・・・・・・・・・・・32,155・・・・・・・・・・・・253,782・・・・・・・・・1,855・・・・・・・256
8(新)・・コントラバンド ・・・・・・・・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・・30,455・・・・・・・・・・・・・37,369 ・・・・・・・・・・284・・・・・・・179
9(32)・・宇宙犬物語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・・22,813 ・・・・・・・・・・・・23,355 ・・・・・・・・・・156・・・・・・・148
10(5)・・君への誓い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/14 ・・・・・・・・・・・・・・21,754 ・・・・・・・・・・・227,806・・・・・・・・・1,723・・・・・・・210
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1、2月と違ってこのところ大ヒット作らしい映画が登場していないですね。観客動員数も4位以下はとてもさびしい数字になっています。
新登場は2・8・9位の3作品です。
 2位「最強のふたり」は上述しました。
 8位「コントラバンド」はアイスランド映画「レイキャビク-ロッテルダム」(2008)をリメイクしたアクション・スリラー。ニューオーリンズで妻と息子とともに平凡に暮らしている男、実は過去腕利きの密輸屋だったのだが、今は決別した・・・はずだったのが、ある日、義理の弟がマフィアとのトラブルで襲われ、大怪我を負ってしまう。そこで彼は義理の弟を助けるため密輸業を再開し、かつての仕事仲間とパナマへ向かう・・・。足を洗っていた○○があるきっかけで再び・・・というパターンはた~くさんありすぎじゃないの? 韓国題は「콘트라밴드」。日本公開は未定です。
 9位はロシアの3Dアニメです。「宇宙犬物語」というのは仮題。韓国題は「스페이스 독(スペース・ドッグ)」。ガガーリンによる初の宇宙飛行以前に、宇宙に行って無事に帰ってきた世界で初めての動物となった宇宙犬ベルカとストレルカの飛行から50年を記念して2010年に作られた作品です。<日本出身モスクヴィチカの徒然>の2010年の記事や、<ろしあんあにめ>というブログにも詳細情報あり。約3分半の動画を含む。うーむ、これは観たくなってきたゾ。初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げが1957年10月4日。ライカ犬を載せたスプートニク2号はそのわずか1ヵ月後の11月3日に打ち上げられたのですね。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・語る建築家(韓国) ・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・・2,922 ・・・・・・・・・・・・・15,776 ・・・・・・・・126・・・・・・・・・・14
2(22)・・かたつむりの星(韓国)・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・・・2,837 ・・・・・・・・・・・・・・4,836 ・・・・・・・・・34・・・・・・・・・・32
3(3)・・アーティスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/16 ・・・・・・・・・・・・・・・1,391 ・・・・・・・・・・・・116,955・・・・・・・・・894 ・・・・・・・・・15
4(1)・・スタンリーのお弁当箱・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・・1,201 ・・・・・・・・・・・・・43,759・・・・・・・・・294 ・・・・・・・・・11
5(新)・・偕老(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・・・・・886 ・・・・・・・・・・・・・・1,659・・・・・・・・・・11・・・・・・・・・・24
                                      
 2位「かたつむりの星」と5位「偕老」が初登場。いずれも前述しました。