書く仕事

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「臨床真理」柚月裕子

2019年05月13日 21時50分56秒 | 読書
「臨床真理」柚月裕子


臨床心理士の佐久間美帆はやっかいな患者,藤木司を抱えていた.
司は美帆に対して心を開くことなく,一切口をきいてくれない.
司はしばらく前に,同じ福祉施設に居た少女,彩が自殺してしまい,その事実を受け入れられないのだ.

美帆は粘り強く,時間をかけて司と対話を試みると,司はある奇妙なことを口走るようになる.
人が何か言うと,「赤」「白」「黒」などとつぶやくのだった.
さらに司は,彩の死は自殺ではなく,誰かから殺されたという.
彼は何を知っているのか?また,他人の発言に色名で反応するのは何を意味するのか?

なかなか読み応えのある骨太のミステリーだった.
後半の展開は,若干見えてしまったが,それでも十分楽しく読むことができた.
楽しいというのは,ミステリーとして楽しいという意味で.ストーリーとしては,「おぞましい」話である.

2008年このミス大賞受賞作.

精神科医,臨床心理士,看護師の仕事の上での関係なども興味深く読ませてもらった.