書く仕事

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「嫌な女」桂望実

2019年03月24日 11時26分50秒 | 読書
「嫌な女」桂望実


魅力的な容姿と天才的な会話術を武器に男を食い物にする生来の詐欺師,小谷夏子.
ひたすら勉強をして法学部4年の時に司法試験に合格した気鋭の弁護士,石田徹子.

この二人が主人公.
二人は遠縁の親戚で,夏子が結婚詐欺容疑で慰謝料を請求されたため,徹子に助けてくれと泣きついてきたことから物語が始まる.
実は,徹子自身,幼いころ夏子からひどい仕打ちを受けたことがあり,内心忸怩たるものがありながら,仕事だからと割り切って,引き受ける.

夏子は,自分勝手で回りに迷惑をまき散らしながら,稼げるだけ稼いでどこかに身をくらますという生活を繰り返している.
しかし,良く調べてみると,相手から金銭的な搾取をする一方で,目に見えない,何かを相手に与えていることが徐々に分かってくる.
それが,何であるかは読んでのお楽しみ.

実は,徹子は弁護士になれたものの,結婚はうまく行かず,子供もいない.
このまま,孤独なキャリアウーマンとして,仕事だけの人生を送っていくのか.
時々,言いようのない寂しさに襲われることがある.
そんな徹子にとって,自由気ままに見える夏子は,徹子が望んでも手に入れられない,大事な何かを持っているように感じられるのだった.

50歳以後の,つまり人生の真っ盛りをやや過ぎかけた読者にとって,自分の人生を見つめ直すきっかけになり得る本かもしれないです.

良い本だと思います.

桂望実の作品は「平等ゲーム」に続いて2作目ですが,読んだことをすっかり忘れてました.
gooブログの検索機能を使ってみて気が付いた次第.