書く仕事

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「ファーストラブ」島本理生

2018年11月13日 16時52分18秒 | 読書
「ファーストラブ」島本理生



エピソードだけから判断すると,父親から娘への性的虐待,娘の自傷行為,母親の娘に対する支配と憎しみ,そして,娘による父親の殺害等,悲惨な出来事のオンパレードになっており,読み進むのにも心に痛みが走る内容となっています.
しかし,行間に溢れる作者のいたわりの眼差しが暖かく,あたかも鎮静剤を飲みながら足をつねられるような感覚というか,不思議な経験をさせてもらえる小説でした.

第159回直木賞受賞作です.

島本理生さんの小説は「真綿荘の住人たち」に続いて2冊目です.いずれも文学の薫り高い上質な作品ですね.