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「言ってはいけない」橘玲(たちばなあきら)

2018年03月28日 22時09分01秒 | 読書
「言ってはいけない」橘玲(たちばなあきら)



「残酷すぎる真実」という副題が付いている。
新潮新書なので、啓発本でもある。
タイトルからして、何かの暴露本か?と思うかもしれないが、極めてまじめな、遺伝学の本である。
遺伝というと、身長とか体重とか、病気とか、一般には身体的な特徴や性質、いわゆる形質に関するものが議論されることが多いが、この本で主として取り扱っているのは、知能や感情など、脳の中身に関するものである。
人間が頭の中で何をどう考え何を選び、何を捨てるか、これらのメカニズムがすべて遺伝子の中に組み込まれていると考える。
もちろん、遺伝子だけですべてが決まるわけではなく、環境が大きく影響するのは周知のとおりであるが、「環境から何を学ぶか」は遺伝子に書き込まれているという説である。

説明は極めて論理的で、感情に流されることがない。

残酷すぎる真実というのは、子育てにおける、親の影響が、我々が想像しているのとは全く異なり、極めて小さいものであるという事である。

親が良かれと思ってやっていることは、ほとんど子供に影響を及ぼすことはなく、親が子育てで悩む大部分のことは、最初から遺伝子に書き込まれている、という事で説明がついてしまうのである。

子育てに悩みのある方は一読をお勧めする。

自分はどう子供と向き合うべきか、一筋の光が見えることは間違いない。