書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「13階段」高野和明

2007年12月01日 22時02分00秒 | 読書

第47回江戸川乱歩賞受賞作
「BOOK」データベースによると,「犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。二人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。」
これは.おっもしろかったです.
トリックの面白さに加えて,ストーリーの骨格を成す殺人事件の裏に,もう一つの殺人事件が隠されていることが,複雑になりすぎずに物語の構成をグレードアップさせています.
さらに,この作品に重厚さを与えているのが,日本の死刑制度の抱えている矛盾を鋭く指摘していること,そして,冤罪の死刑囚を救うための時間が,一日一刻と少なくなっていく緊張感.
非常に手が込んでいるつくりになっているのですが,煩雑感がないのは,間違った死刑執行を絶対にさせてはいけないという主人公南郷刑務官の使命感が,読者の胸を打つからでしょう.

ページをめくる手が止められないとはこのこと.
今年読んだミステリーではマイベストでしょう.
江戸川乱歩賞受賞作は,外れがないですね,私的には.