書く仕事

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「物理法則はいかにして発見されたか」R.P. ファインマン

2007年07月31日 18時09分26秒 | 読書

この本、読書と言う分類で記事を書くのはちょっと違うような気もしますが、他に適当なのがないし、わざわざこのためにカテゴリーを作るのもめんどうなので、「読書」のままにしました。

著者は、ちょうど朝永振一郎博士と同じ時期に量子電磁力学の発展に寄与した功績で、ノーベル物理学賞をもらったリチャード. P. ファインマンさん。
この本はノーベル賞の受賞記念講演として、主として学生向けに語られた内容を記録したものです。

ファインマンさんの功績は、何か新しい素粒子を発見したとかじゃなくて、それまで別々なものとして式で表されていた電磁気学と量子力学を、数学的な統一されたきれいな式で表現することで、一気に電磁量子力学という分野を切り開いた点にあるようです。
実は私も専門外で本当のところよくわかりません。

ファインマンさんのすばらしいところは、難しいことを優しく解説する啓蒙家としても天才的な才能を持っている点です。

研究の点ですごいだけでなく、その講義の分かりやすさの評判とか、彼が書いた教科書がベストセラーになっていることなどからもそれがわかるようです。

さて、この本ですが、さすがに「純」文系の方にはちょっと難しいかもしれませんが、物理に興味ある高校生くらいなら楽しく読めると思います。

力学、電磁気学、相対論、量子力学そして素粒子論へと繋がる物理の歴史と各々のエポック的な現象を分かりやすく解説しながら、物理法則とはどういう発想から見つけられたのかが語られます。

例えば、力学のところは...
月と地球の間の引力のおかげで、汐の満ち干が起こります。
地球は1日1回転しかしないのに、なぜ、汐の干満は1日に2回あるのか?
という素朴な疑問にやさしく答えることで、力学における物理法則とは何かを解きほぐしてくれるのです。
ところで、なぜ2回あるかご存知でしたか?

私は知りませんでした。(汗)

もし、月の引力が無かったら、満ち干は無くて、海の深さは平均した状態になってますね。
ここで、ポイントは、月の引力は月に近い方が大きく、遠い方が小さいと言うことなんです。

だから、地球上で、月に近い方にある海の水は、より強く月に引っ張られるので、盛り上がって満ち潮になります。
これはOKですよね。
問題は地球の反対側にある海の水です。
こっちは地球より遠くにありますね。
だから、その海の水より、地球本体の方がより強く月に引っ張られますよね。
その結果、海の水が「取り残される」のですよ。
そのために結果的に盛り上がるのです。
へえ~でしょう?
これが、一日に2回干満がある理由です。

まあ、こんな具合で、物理学の歴史をざあっと復習させてくれます。

ただ、相対論くらいまではなんとかついて行くんですが、ノーベル賞受賞理由になった量子論、素粒子論のところは、ついていけませんでした。
雰囲気はなんとなくわかるんですけどね。
でも、前半は面白かった。
物理がわかった気になりますもの。
気分良いです。
後半は打ちのめされましたが(笑)