書く仕事

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「杉並大学探偵事務所」戸田可秀

2006年10月14日 20時04分42秒 | 読書
市立図書館でふと目にとまって借りてしまいましたが,えらくマイナーな本のようです.
書名と作者名でgoogleで検索すると,ヒット数,たった33件ですよ.
gooブログのブログ検索だと,0件です.たはは!
でも,その割には面白かった.
主人公は地方の国立大「杉並大学」の4年生「奈々」
杉並大学探偵事務所というサークルの「所長」ということになってる.
杉並大学探偵事務所はもともと,探偵小説のトリックなどを研究するという名目で作られたサークルですが,よくある宴会サークルだったらしい.
しかし,名前が名前だけに,中には誤解して調査を依頼してくる人がいて,いつの間にか本当の探偵事務所みたいになってしまったというもの.
奈々は恋人の洋一に誘われてこのサークルに入ったものの,当の洋一は半年前にバイクの事故で帰らぬ人となってしまったんですね.
洋一は図書館に本を返すよう奈々に頼まれ,図書館に向かう途中で事故にあったのです.
愛する恋人を自分の頼みごとのために失ったことから,奈々はトラウマを受け,酒びたりの生活を送りながらも,なぜか洋一の思い出の残る探偵事務所からは離れられずにいます.
そして,大学の授業にはほとんど出ずに事件を解決するだけの生活を送っているのです.
そんな奈々と,洋一への想いを引きずる奈々をそっと支えつつ,奈々に想いを寄せる「アスト」,いつも調子の外れた仕事ぶりで状況をややこしくする「田辺」,そのほか数名のメンバーとやっかいな事件を持ち込む人々を交えたサスペンスです.
いずれの事件も最初は素人の探偵ごっこ風に始まるんだけど,結構深い問題に発展する.援助交際,DV,麻薬そして殺人事件にからむものもあり,暴力場面も結構ある.
和風ハードボイルド小説と言えるかな?勿論大学が舞台なので若者達の風俗もたくさん出てきます.
そうですね,石田衣良とレイモンドチャンドラーを足して2で割った感じ?と言ってもいいかもしれないですね.
本来ならブルースウイリスあたりが主演すべき役を,女子大生がやってるというところがミスマッチの感もあるし,そこが面白いと言う人もあると思います.
私は面白いと思いました.
戸田可秀さん,これからのブレークに期待してみたい気がします.