メガデスのライブを聴きに武道館に行ったとき、人混みに流されながら江戸城の堅牢な守りを思い知り、それについていつか書いておこうと思った。公演終了後は混雑を避けるため、新型コロナウイルス感染症の感染拡大後すっかりおなじみの規制退場となったから、武道館を出る人の流れは滞ることがなかったにもかかわらず、北の丸を出るところで大渋滞が起きた。
門のところで人の流れが阻まれて身動きできなくなったのだ。一度に大軍が入場できないように門を狭くしてあるため、武道館からの規制退場でせっかく小分けにされたメタルの観衆がここで渋滞を余儀なくされた。有象無象が入りにくいようにする城の守りの構造は、そのまんまオーディエンスが城を出にくい難所として生き残っているのである。
せっかく門を抜けても、そこには次の門とのあいだに四角く作られた空き地があり、押し寄せてくる兵をここに足止めして門の上から弓矢や鉄砲で一網打尽にできるような縄張りにしてある。ここにまた有象無象のオーディエンスが渋滞して江戸城の北の丸をやすやすと出られない仕掛けになっていた。弓矢や鉄砲は直線の攻撃しかできないから、城を渦巻き状の縄張りにして城門の中に升形(と呼ばれる空き地)を作り、敵を誘い込んで一網打尽にするのは戦国時代に発達した築城術である。
メタルのライブを堪能した直後に戦国の築城術について思いを巡らせることになるとは、メガデスの旧メンバーであるマーティ・フリードマン(いつも日本にいる)が特別ゲストとしてステージに参加しピョンピョン跳躍しながらギター弾くのを見ているときは予想だにしなかった。それでブログに書いておこうと思った次第である。
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