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歩くことが唯一の趣味ですから。

河津町

2022-03-05 | Weblog

ある日のこと、伊豆の加茂郡河津町に住む飯田勝美さんが川沿いを歩いていたところ雑草の中に1mほどの桜の木があった。1955年(昭和30年)頃のことだと飯田さんはいう。庭先に移植したら10年ほどで開花。その後の学術調査で、いまだ確認されていない新種とわかり、1974年(昭和49年)に「カワヅザクラ(河津桜)」と名づけられた。早春の伊豆に大勢の観光客を集める、河津桜のはじまりである。

見物客が増えるにつれ、これは町おこしになる! と地元の人が気づいた。ちょうど全国で町おこしの気運が高まっていた1991年(平成3年)から「神津桜まつり」が催されるようになり、今年で31回目だった。ぽかぽか陽気の2月27日(日)いちどぐらい河津桜をしっかり見物しようと思って河津町へ。飯田さんが発見したってことは、あのイイダデンキの看板のそばで咲き誇るのが原木ではないか?

まさしくそうだった。飯田さんが川沿いで見つけて庭先に植えた原木が大きく育ち、道のほうまで枝を広げて花を咲かせ、わざわざ遠くから渋滞に負けず見にきた人たちを喜ばせていた。多くの人が寝乱れて隠れ宿、九十九折り浄蓮の滝を経由して、くらくら燃える火をくぐり天城越えしてたどり着いている。どれだけ山が燃えたことか、カップル見るとつい想像しちゃう。

走り水、迷い恋、風の群れ、天城隧道……ポンポンポン(鼓の音)恨んでも恨んでも軀うらはら、あなた……山が燃える♪   戻れなくても、もういいの。くらくら燃える地を這って、あなたと越えたい天城越えというわけでカップルが写真を撮りまくる河津桜である。男女のカップル、男同士のカップル、女同士のカップル、あるいはお友達などが遠路はるばる思い出づくりに訪ねてきて、行きも帰りも渋滞が凄まじかった。もう二度と河津桜まつりに来るまいと、まつり嫌いだから密かに心に誓った。でも、いちど満開の河津桜を目にすることができて冥土の土産ができた。

愛車のハーレー・ダヴィッドソンも久しぶりの遠乗りでゴキゲンだから、これでいいのだ。桜というのは変異株が生まれやすい、いま流行りの新型コロナウイルスのようなもので、伊豆には昔から桜の変異株がたくさん存在している。早咲きのものが多くて、神津桜もだいたい梅と同じような時期、スギ花粉症が大暴れする時期に咲き誇る早咲きの桜だ。なんだか目が痒いと思ったら、そうかスギ花粉が飛んでるのか。調査によると河津桜は、大島桜と寒緋桜の交雑で生じた変異株らしい。

これはいけると踏んだ地元有志が接ぎ木などで増殖した河津桜をがんばって川沿いに植樹した結果、堤防の土壌がゆるんで決壊しやすくなり、1998年(平成10年)施行の改正河川法で川沿いの植樹が禁止になった。それでも現在、約4kmにわたる遊歩道に850本の河津桜があるという。川沿いだけでなく町のあちこち、山のあちこちに河津桜が植えられているので、山の河津桜などは3月になってようやく開花するとか。それは愛車のハーレー・ダヴィッドソンが喜びそうな話である。

 

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