散 歩 B L O G

歩くことが唯一の趣味ですから。

唐招提寺と薬師寺

2012-04-01 | Weblog
奈良公園はみどころ山盛りすぎて疲れるので、近鉄を乗り継いで西ノ京に向かう。そこへ行けば、
唐招提寺もあるし薬師寺もある。電車の窓から外を眺めてると、大和西大寺の手前に平城宮跡が
こんなふうに見えてくる。


ガタンゴトン……ガタンゴトン……

晴れた日は、もうちょっとハッキリ見える代わりに風情がない。曇や雨の日ぐらいがちょうどいい。
大和西大寺で乗り換えて、ひとつめの尼ヶ辻をすぎると古墳が見えてくる。


垂仁天皇陵といわれているが……?

本当かどうかわからない。平城京のまわりには古墳がいっぱいあるけど、天皇の権威が地に落ちた
鎌倉から江戸の700年ほど放ったらかしになっていたので、どの古墳が誰の墓なのか実はさっぱり
わからないそうだ。この100年ぐらいは宮内庁が囲い込んで調査させてくれないから、相変わらず
本当のことは誰にもわからないまま。(天皇家と関係ない古墳かもしれない)


開門まで15分くらいある

西ノ京の駅のすぐ前に薬師寺がある。開門8時30分ということで、あと15分もあるから待たずに
唐招提寺へ先に行く。そうすれば、ちょうど唐招提寺のほうの開門時間になるかもしれない。


地図で見ると程よい距離のように思える

とことこ歩いて行くと、お坊さんがジョギングしている。なんかへんなの。お堂の掃除とかすれば
いい運動になりそうなのに、わざわざスポーツするなんて。一体どこのお坊さんだろう?


薬師寺北門跡の立て札

道端に土塁みたいなのが残っている。何にもないけど、かつて(いまも?)薬師寺の寺域がここまで
あったというアピール。もうちょっと歩いたら唐招提寺が見えてきそう。


ちゃーんと、ここにありましたよ

開門の8時30分まで、あと5分ぐらい。近いんだなあ、薬師寺と唐招提寺。こうやって歩いてみると
よくわかるけど、観光バスで連れてこられたら全然わからないよ。


しばらくすると、開門時間になりました

あんまり人がいないから落ちつく。質実剛健、正直な造りのお寺に思える。あそこに見える柱は全部、
上下が細くて中央が太いエンタシスになっているんだろう。ギリシアのような石の柱じゃなくて木の柱
だけど。いくら古いといったって古代ギリシアの半分くらいだけど。


しかし、なかなか気持ちがいい

鑑真が何度も失敗を重ねながら海を渡って日本にきて、聖武天皇をはじめとする400人あまりの
日本人に初めて正式な授戒を行い、土地を賜って私寺として建てたのが唐招提寺なんだって。


そのときの授戒した戒壇がこれ

東大寺の大仏の前に設けられたのを、唐招提寺ができたとき移してきたもの。ということはこれが、
唐招提寺でいちばん由緒ある遺跡。いちばん端っこにあるから誰も見にこないけど、もったいない。


横からも見ておこう……

唐招提寺ができた時代は、ガチの上の最上級、リアルガチに為政者が仏教を信仰していたから、
ここにある多くのものが最上級のリアルガチなのよ。


水の湧く所に寺を造る

撮影禁止だから撮らないけど、金堂にある千手観音立像は本当に手が千本ある(何本か折れてる)。
リアルガチだから千本ある。後の時代になると、千手観音といっても48本しか手がないよ。ためしに
数えてみるとよくわかる。興福寺の千手観音も、三十三間堂の千手観音も48本だから。


井戸は涸れたことがない

本尊の盧遮那仏の光背には小さい釈迦像が千個もついているから、眺めているとめまいがするよ。
東大寺の大仏も盧遮那仏で、あっちのほうが大きいけど、断然こっちのほうが迫力ある。


しびれるねぇ、天平のいらか

そんな唐招提寺をあとにして、もときた道をトコトコもどったら、薬師寺のほうも開門している。


いらっしゃいませー!

こちらは商売上手なお寺で、昔は官寺だったから黙っていても国がお金をがガッポリくれたけど、
いまは国が面倒を見てくれないから拝観料をとったり、写経で二千円ずつもらったり、いろいろな
手をつくして薬師寺を維持運営してるって、しゃべりのうまい僧侶が説いてた。


伝統的に、しゃべりのうまい僧侶がいる

中学の修学旅行できたときも、薬師寺のお坊さんが面白かったことは何となく記憶に残っている。
子供相手だからか当時お金の話はあまりしていなかったけど、東塔の解体と復元にお金がかかる
のだそうだ。焼けた西塔のように新しく建てるほうが、焼けてない東塔を分解して元に戻すよりも
安く上がるとか。そりゃそうだろう。だからって燃やすわけにもいかない。


覆いをかけられた東塔


西塔はちゃんと見える

裳階(もこし)がついてるので六重に見えるけど、三重塔だってお坊さんが熱弁をふるっていた。
そういえば中学生のときにも聞いたなあ、この話。


官立の古い寺には庭がない

奈良を観光していて京都より疲れるのは憩いの場所に乏しいせいかもしれない。憩うために
造られた場所じゃないから、当たり前といえば当たり前。いまの日本人が眺めて普通にホッと
するものは、たいてい鎌倉・室町より新しいって本当だろうか。
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