暑い日が続く。
お野菜がすこしは安くなるかな……。
ここは湘南とはいえ、山辺のほうだから、地野菜など、すこし奥まった小道や、農家の軒先で無人露天の棚店に売られていて、それはとても新鮮でおいしい。
のどかに、お金を入れる木の箱がおいてあって、店番のひともいない。
市価の半額くらいだ。すこしふぞろいだけれど、とりたての野菜の肌はぴかぴかしている感じ。
おかしな表現かもしれないけれど、きれいな土の味がする。
でも、そこへ通うのは、ちょっと遠くて、つい近間のスーパーへ足が向く。
陽射しが照りつけるので、たまの休日の昼ひなかの外出は、つい億劫。
午後になってようやく風が出てきた。
わたしの部屋には、小指の先よりちいさい、かれんな小蜘蛛が以前から棲んでいて、こうしてパソコンに向かっていたり、勉強机や食卓の近くで、汗をかいていると、ふいにフワッと現れる。
人間に対して、ぜんぜん警戒心がないみたいだ。
全身黒くて、よく動くくちばしだけが白い。モノトーンの愛嬌者。
何年も前からいる。たぶん、代替わりして、先祖代々なんだろう。
蚊を食べてくれるのかな……でも、ここらへんの薮蚊はかなりおおきくて、蜘蛛太郎氏より逞しかったりする。
たぶん、ドラセナに付く虫を食べているんだろうな。
宙に浮かんで、空気の動きのまま、ふわりと彼は視界から消える。
彼のからだを吊っているはずの、透きとおった糸は見えない。
よしなしごと。
ひるのひとやすみ。