雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

なめらかに糸吐くやうな呼吸せむ夏よりあはす蜘蛛に吹かれて

2010-07-24 12:31:27 | Weblog


 暑い日が続く。




 お野菜がすこしは安くなるかな……。

 ここは湘南とはいえ、山辺のほうだから、地野菜など、すこし奥まった小道や、農家の軒先で無人露天の棚店に売られていて、それはとても新鮮でおいしい。


 のどかに、お金を入れる木の箱がおいてあって、店番のひともいない。


 市価の半額くらいだ。すこしふぞろいだけれど、とりたての野菜の肌はぴかぴかしている感じ。


 おかしな表現かもしれないけれど、きれいな土の味がする。

 でも、そこへ通うのは、ちょっと遠くて、つい近間のスーパーへ足が向く。

 陽射しが照りつけるので、たまの休日の昼ひなかの外出は、つい億劫。

 



 午後になってようやく風が出てきた。


 わたしの部屋には、小指の先よりちいさい、かれんな小蜘蛛が以前から棲んでいて、こうしてパソコンに向かっていたり、勉強机や食卓の近くで、汗をかいていると、ふいにフワッと現れる。

 人間に対して、ぜんぜん警戒心がないみたいだ。

 全身黒くて、よく動くくちばしだけが白い。モノトーンの愛嬌者。


 何年も前からいる。たぶん、代替わりして、先祖代々なんだろう。


 蚊を食べてくれるのかな……でも、ここらへんの薮蚊はかなりおおきくて、蜘蛛太郎氏より逞しかったりする。


 たぶん、ドラセナに付く虫を食べているんだろうな。


 宙に浮かんで、空気の動きのまま、ふわりと彼は視界から消える。


 彼のからだを吊っているはずの、透きとおった糸は見えない。




 よしなしごと。





 ひるのひとやすみ。










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