雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

青い麦膝を抱へて潮の香のゆくへに思慕を問ひし季節も

2011-03-21 19:06:28 | Weblog

 コレット「青い麦」に。




 シドニー・ガブリエル・コレット、大好きな女流のひとりだけれど、日本ではあまり読まれないのもしれない。


 サンド、コレット、サガン…それからデュラスという、フランス女流独特の系譜。



 たくさんの著作を残した中で、わたしは彼女の若い時代の小品、「青い麦」を愛読していた。

 特にドラマティックとはいえないけれど、みずみずしい青春小説のおもむきで、繊細でこまやかな描写がこのましかった。





 主人公の少女は小麦色に日焼けしたおてんば娘で、幼馴染の少年を好いているが、その気持ちを素直に表現できない。

 彼女は濃い青い目をしていて、瞼を閉じていても、薄いきれいな瞼の皮膚を透かして、その瞳の青が映った、という……くだりをいつも思い出す。


 そうして、夕暮れになると、湿った夕風が、満ちてくるうしおの匂いを伝えて……という描写なども。


 雨の匂いに、またそんなことを想った。





 今日も無事に勤め終えた。




 感謝。















 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルファポリス