福島原発が廃炉になるという。
当然だとおもう。数々のいたましい悲劇をひろげて…。そのあがないは、どこまで実現できるのだろう。
湘南にさえ微弱だけれど、汚染の伝えあり、今日の春雨にもつくづくと空を見る。
日常のつとめはすきまなく終えなければならない。
必要以上に神経を騒がせるのはもってのほか。
ベランダの植物たちはめきめきと勢いづき、若葉をひろげている。初々しい黄緑がうつくしい。
……一雨ごとに春になるよ
昔読んだ北欧の童話、「ニルスの不思議な旅」のなかで、渡り鳥たちは春になると、こんなふうに歌いながら飛ぶのだったっけ、などど思い出したりする。
桜も、返る雁がね、白鳥も、そして人の営みも、避けることのできない災いを身に受けて季節をわたる。
百年後、わたしたちの子孫は、どんなふうにこの時代を眺めるんだろう?
愚行への非難や批判はかんたんだけれど、廃残から立ち上がり、気力を尽くして復興への道のりを戦い抜いた有名無名のさまざまをも、見つめてくれたら……なんて、ちょっとなまいきだろうか。