コレット「青い麦」に。
シドニー・ガブリエル・コレット、大好きな女流のひとりだけれど、日本ではあまり読まれないのもしれない。
サンド、コレット、サガン…それからデュラスという、フランス女流独特の系譜。
たくさんの著作を残した中で、わたしは彼女の若い時代の小品、「青い麦」を愛読していた。
特にドラマティックとはいえないけれど、みずみずしい青春小説のおもむきで、繊細でこまやかな描写がこのましかった。
主人公の少女は小麦色に日焼けしたおてんば娘で、幼馴染の少年を好いているが、その気持ちを素直に表現できない。
彼女は濃い青い目をしていて、瞼を閉じていても、薄いきれいな瞼の皮膚を透かして、その瞳の青が映った、という……くだりをいつも思い出す。
そうして、夕暮れになると、湿った夕風が、満ちてくるうしおの匂いを伝えて……という描写なども。
雨の匂いに、またそんなことを想った。
今日も無事に勤め終えた。
感謝。