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★安倍政権の総括(後編)

2017-07-31 08:39:55 | 日記・エッセイ・コラム
 アベノミクスの基本は、ケインズ経済学。景気対策と財政再建は、二律背反ではなく、経済成長で全体のパイを大きくすれば、財政再建が達成できるとする。

 GDPの60%以上を占める個人消費を増やすためには、所得水準を上げ、税金を下げて「可処分所得」を増大させ、購買意欲をかきたてる魅力ある商品を開発する必要がある。

 安倍政権は、「三本の矢」を掲げ、財政出動で公共工事を増やし、雇用を改善した。有効求人倍率は、バブル絶頂期の数字にまで回復し、100万人以上の雇用を生み、順調にみえた。

 これで、企業収益が増大し、給料が上がれば、消費が拡大し、「物価上昇率2%」達成で、アベノミクスは成功となる。しかし、財源は無限ではなく、手順を間違えたのが致命的だった。

 安倍総理は、同時に、構造改革を実施し、それで発生する痛みを金融緩和で手当てすべきところを、将来に痛みを先送りした。

 政府は、国債を乱発し続け、日銀は、マイナス金利まで導入し、アベノミクスを支援したが、企業収益は増大しても、従業員の給料は、一向に上がらなかった。

 原因は、労働者の40%が一時雇用や非正規雇用で、給料は、正規社員の約60%と低く、個人消費に回せない。また、豊かで成熟した社会になって、かつての「三種の神器」にかわる夢が無くなり、出口が見えない将来不安で、国民の消費意欲が委縮してしまった。もはや、ケインズの「消費は美徳」は、死語と化した。

 日銀総裁が、2013年に掲げた「2年で2%アップ」目標は、6回目の延期で、2019年になり、国の借金が増える一方で、もはや、アベノミクスに未来はない。