第8回『このミステリーがすごい!』大賞の最終候補作品に「加筆」(とは文末にあるが)したもの。実際は800枚という長編を削って整理されているらしい。(大森望氏解説)三流出版社の雑誌で食いつなぐフリーライター、都市伝説をテーマとしていたが、究極の都市伝説の記事を求められる。「死神」という謎の暗殺者を追うことに。事故としか見えない事件がこの「死神」によるという。標的にはトランプのジョーカーが送られるとも。ライターの陣内、その先輩の本宮。このほかに定年間近の板橋刑事とコンビを組む御室刑事、さらに数人の登場人物がそれぞれの視点で描かれていく。ヤクザの親分が死んだ事件から迫る陣内ら、十数年前の殺人失踪事件から迫る刑事、さらに洋菓子を作る主婦、小説の世界を自身と同化させる女性etc. 馬鹿馬鹿しさに溢れ、展開は猛スピード。そして衝撃の結末へ!という感じ。この一冊で終わらせるのはもったいないキャラクター達もいて、これはなかなかのもの。作者の今後にも期待。☆☆☆☆☆といっちゃいましょう。