世界をスケッチ旅行してまわりたい絵描きの卵の備忘録と雑記
魔法の絨毯 -美術館めぐりとスケッチ旅行-
古都グラーツ(続々)
私たちは最初、これもメイポールのイベントの一環と思ったのだが、どうやらまったくの別物。週末の旧市街の広場を狙った、何かのデモンストレーションのためのチンドン屋のパレードと、メイポール切除の伝統イベントとが、バッティングしてしまったらしい。
さすがグラーツ、新旧のコラボ。
チンドン屋はカーニバル風の奇抜な仮装をしていて、鼓笛と、足の長いピエロやら、マラカスをお手玉するジャグラーやら、鼓隊の前を行って踊るダンサーやらの曲芸とともに、ビラを撒く。ビラには、今夜7時、どこそこで、何それのイベント、10ユーロ、などと書いてある。
チンドン屋集団は物凄い規模。それが広場を占領してしまったので、チロルの伝統舞踏集団のほうは、まだメイポールのダンスが残っているのに、踊ることができずに、チンドン屋が通り過ぎるのを待っている。ところがチンドン屋はなかなか広場を去らない。
そこへ、チンドン屋のリーダーがマイクで何かを呼びかけた。ワッと拍手が起こり、チンドン屋は鳴りをひそめて、チロルのダンスが再開された。
ところが、チンドン屋の足長のピエロと女ピエロが、チロルのカップルのダンスを真似て、一緒になってよたよたと踊るので、見物客がどっと笑う。ジャグラーやらダンサーやらも、チロルの音楽に合わせて、それぞれパフォーマンスする。ひっきりになしに大声で笑い続けるツーリストもいて、チロルのダンスには気の毒だった。
やっぱり新旧のコラボって、無理がある。
To be continued...
画像は、グラーツのチンドン屋。
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古都グラーツ(続)
調和の取れた、趣のある古い町並みのなかに、ボコッ、ボコッと、新しい、しかも見るからに前衛的な、奇を衒っただけのナンセンスな建物が、何の前置きもなしに建っている。有名なクンストハウスもナマコに見える。
グラーツはそれを新旧のコラボと言うが、私たちにはウィーン的に放縦、放埒なものに感じる。旧市街はそのうち滅茶苦茶になりそう。
グラーツはイビチャ・オシムゆかりの街、と言う相棒。オシムがいるかも、と行き来する人々を眺めながら、「オシムに酷似した人があっちにもこっちにもいるよ」。
私は、シュワルツネッガーに似た人のほうが多いと思うけどな。
一旦は通り過ぎた中央広場に帰ってきてみると、消防車がクレーンでメイポールを引っこ抜いている。そして広場の端に、白いブラウスに赤いベスト、黒いズボンと帽子、という身装の、ブラスバンドの楽団が待機している。それとは別に、チロリアンな衣装を着た、初老の男女の一団も、カフェでビールを飲んでいる。
民俗チックな装いだけれど、陽射しが強いので、みんなサングラスをかけている。
どうやらこれはメイポールの切除式。待っていると、消防車のクレーンがメイポールを横たえたところで、ブラスバンド楽団が演奏を始めた。
続いて、アコーディオンの伴奏で、チロル衣装の初老の男女がカップルとなって、グラーツ伝統の輪舞。チロリアンな爺さん、婆さんたちが、楽しそうに、恥ずかしそうに、笑いながらのどかなダンスを披露する。
そのダンスが終わったところに、突如、どんちゃんと騒々しい音が鳴り響いた。がやがやと動揺の走る、チロリアンな初老のダンスの一団。鼓笛隊を先頭に、チンドン屋のパレードが広場へと乗り込んできた。
To be continued...
画像は、グラーツ、メイポール切除式のためのチロル吹奏楽団。
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古都グラーツ
オーストリア第二の都市グラーツ(Graz)。有名な古都なので、説明は要らないと思う。私たちにとっては音楽の街として思い出に残った。
以下、旅の日記から。
本日は、マリボルからオーストリアに入り、グラーツに行く予定。が、朝、いくら待ってもマリボルへの列車が来ない。散歩途中の老夫婦に尋ねたところ、今日は土曜日なので、時刻表にあるローカル列車は来ないのだという。
慌ててバス停に向かったが、バスは出たばかり。1時間半後にしか次のバスがない。
週末の国境越えで、あんまりな目に会ってきた経験が、頭をよぎる。予定の国際列車に乗れなければ、グラーツを観光する時間がなくなっちゃう。
「グラーツはボツ。呪われてるんだよ、週末は」相棒が投げやりになる。
1時間半を無為に待ち続け、やって来たバスに乗って、ぎりぎりでマリボルに到着。構内へ走り、チケットを買おうとしたら、一つしかない窓口に、大家族がチケットの相談をしている。もう泣きそう。
急いでますか? と尋ね、順番を譲ってもらって、先にチケットを買う。プラットホームまで走り、発車前の列車にぎりぎり乗り込んだ。
間に合った。途端に気が緩んで、座席に座って大きく伸びる。普段は乗らないリッチな国際列車。涼しいし、静かだし、窓は大きくてきれいだし、速い。無事、グラーツに到着した。
ホテルに荷物を預けて、旧市街見物へ。グラーツは私たちにはちょっと大きすぎる。そして商業的すぎる。素晴らしい旧市街なのだが、しっかり観光客に乗っかった、商業的な観光地となっている。
To be continued...
画像は、グラーツ、旧市街。
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