聖書あれこれ:ダニエルの夢解き(続々々々々)

 
 ダリヨス王は王国の統治のため、120人の総督を立て、その上に三人の総監を立てる。ダニエルはその一人だった。
 他のすべての総監・総督らに勝るダニエルを王が重用したため、彼らは謀って、王に進言する。今から三十日間、王のみに祈願し、王以外に祈願すれば獅子の穴に投げ入れる、という禁令を設けるべし、と。
 王はこの禁令に署名する。

 ダニエルは禁令を知りつつ、いつものように、エルサレムに向かって神に祈る。そこで人々は王に訴える。
 王は大いに憂い、ダニエルを救おうと努めるが、人々は禁令を楯に王に迫る。やむなく王は、ダニエルを獅子の穴に投げ入れるよう命ずる。
 獅子の穴の口は石で塞がれ、封印される。その夜、王は寝食を取らなかった。

 翌朝、王は獅子の穴へと急ぎ、ダニエルを呼ぶ。ダニエルは、神が天使を遣わし、獅子の口を閉ざしたので、獅子は自分を襲わなかった、と答える。ダニエルには傷一つなかった。
 王は、ダニエルを悪しざまに訴えた人々を、その妻子とともに、獅子の穴に投げ込ませる。獅子は、彼らが穴の底に達しないうちに飛びかかり、骨まで噛み砕く。

 To be continued...

 画像は、レンブラント「ベルシャザルの饗宴」。
  レンブラント・ファン・レイン(Rembrandt van Rijn, 1606-1669, Dutch)

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聖書あれこれ:ダニエルの夢解き(続々々々)

 
 ネブカドネザル王治世の数十年後。ベルシャザル王は千人の貴族、婢妾と酒宴を催していた。酒が廻った王は、父王ネブカドネザルがエルサレムの神殿から持ち帰った金銀の祭具を持ってこさせ、その祭具で酒を飲む。
 
 すると突然、人間の手の指が現われて、壁に文字を書く。王は怖れおののき、知者らを集め、この文字を読み解くよう命ずる。が、誰もできない。
 王と貴族らが途方に暮れていると、王母がやって来て進言する。かつて父王の時代に、神のごとく知恵を持ったダニエルという神官長がいた。彼は夢を解き、謎を解く。彼なら文字を解くだろう。と。

 そこでダニエルが王の前に呼ばれる。ダニエルは文字を解く。

 神は父王ネブカドネザルに王国と権勢、栄光、尊厳を与えた。だが尊大、傲慢に振舞った父王は王位を追われて、獣の心となって野に暮らした。こうして父王は、人間の王国を統べるのが神であることを悟った。
 だがベルシャザル王は、これをことごとく知りながら、なお驕り高ぶり、神を崇めようとしなかった。ゆえにこの手が現われ、この文字が書き記されたのだ。
 文字はこうだ。“メネ・メネ・テケル・ウ・パルシン”。メネは数えるの意、あなたの治世が数えられ、それが終わりに到った。テケルは測るの意、あなたが秤にかけられ、その量が不足とされた。パルシンは分けるの意、あなたの王国が分かたれ、メディアとペルシャに与えられる。と。

 その夜、ベルシャザル王は殺され、メディア王ダリヨスが王国を継いだ。

 To be continued...

 画像は、J.マーティン「ベルシャザルの饗宴」。
  ジョン・マーティン(John Martin, 1789-1854, British)

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聖書あれこれ:ダニエルの夢解き(続々々)

 
 さらに王は夢を見る。バビロンの知者らにはそれが解けない。王はダニエルに夢を語る。

 大地の真ん中に一本の木があり、天に達するほど高く、強くなった。地の果てまでも見渡せ、葉は美しく実は豊かで、人はその実を得、獣はその陰に宿り、鳥はその枝に棲んだ。
 だが、一人の天使が天から降り、声高く叫ぶ。
「この木を切り倒せ。だが、根株は残して、鉄と青銅の箍をかけよ。それに獣の心を与え、七つの時を過ごさせよ。人間の王国を統べるのは神であり、意のままにこれを人に与えるのだ」

 王の夢を聞いたダニエルはしばし驚き、思い悩んだ後、夢を解く。
 大木は王自身だ。が、神の命令により、王は追われ、獣のように野で暮らすだろう。こうして七つの時が過ぎて後、王は、人間の王国を統べているのが神であることを悟るだろう。もし王がこのまま回心しなければ。と。

 一年後、王宮の屋上を歩いていた王は、この大いなるバビロンは、我が大いなる力を示すものだ、とつい口にする。
 言い終わらぬうちに、天から声が轟く。王よ、王国はお前を離れ去った、と。

 天の言葉はただちに王に成就する。王は追われ、野獣のように暮らし、ついにその毛は鷲の羽のように、爪は鳥の爪のようになる。
 七つの時が過ぎたとき、王が眼を上げて天を仰ぐと、王の理性が戻り、王国も戻る。王は神を讃美する。

 To be continued...

 画像は、ブレイク「ネブカドネザル王」。
  ウィリアム・ブレイク(Wlliam Blake, 1757-1827, British)

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