聖書あれこれ:聖ルカ

 
 映画「天使と悪魔」の話。ラストで、新しいローマ教皇の名がルカだった。
 そのラストの一つ手前では、ある人が「父よ、我が霊を御手に委ねます」と叫んで死んでゆくのだが、これはキリストの最後の言葉だったような記憶が……と思って、後で確かめてみたら、やっぱりそうで、「ルカ福音書」に記されていた。
 何気にルカでつなげていたんだな……

 ルカという人物は、福音書の著者として、名前だけは結構知られているが、その生涯のエピソードについてはほとんど聞かない。私の無知なのではなく、実際にあまり知られていないらしい。

 以下は受け売りだが、まとめておくと、ルカはシリア、アンティオキアのギリシャ系の医師。パウロの伝道によって改宗した後、その弟子として伝道に付き従い、ヘレニズム各地を布教してまわった。パウロがローマ軍下のカイサリアで投獄された際にも、そばに留まって彼に仕えた。
 パウロの死後も宣教を続け、ギリシャの地で、異教の司祭らによってオリーブの木に吊るされ、殉教したという。

 ルカによる福音書は美しく豊かなギリシャ語で表わされ、他の福音書がヘブライ的であるのに対して、ヘレニスティックでヒューマニスティックであり、キリストの人間性の強調、愛と憐れみの主張、女性や子供ら弱者の尊重、などを特徴とするという。

 またルカは、聖母子像を描いた世界で最初の画家という伝承もある。このためルカは、医者および画家の守護聖人とされる。
 「聖ルカ組合」は画家ギルドに広く用いられた名称で、フェルメールやレンブラントが加入していたギルドも、確かこの名前。

 画像は、マビューズ「聖母を描く聖ルカ」。
  マビューズ(Mabuse, ca.1478-1532, Flemish)

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