聖書あれこれ:ダニエルの幻視(続)

 
 ダニエルはベルシャザル王の治世第三年にも、再び幻を見る。

 川岸に一匹の牡羊がいた。牡羊には二つの長い角があり、一方は他方よりも長く、後から伸びたものだった。牡羊は西、北、南に突進し、これに立ち向かえる獣はいなかった。

 すると、一匹の牡山羊が西から飛んで来た。牡山羊には眼と眼のあいだに一つの大きな角があった。
 牡山羊は牡羊に立ち向うと一撃し、牡羊の二つの角を砕き、地に打ち倒して踏みつけた。牡山羊が強大になると大きな角が折れ、代わりに四つの角が生えてきた。
 その角の一つから、一つの小さな角が生えた。それは天の軍勢に達するほど大きくなり、天に敵対し、その常供の燔祭を退け、その聖所を倒した。

 すると、ダニエルの前に天使ガブリエルが立ち、幻の真意を解く。

 この幻は終わりの時に関わるものだ。二つの角のある牡羊はメディアとペルシャの王、大角の牡山羊はギリシャの王だ。大角は第一の王(アレキサンダー大王)、角の折れた後に生えた四つの角は、四つの王国だが、第一の王のような勢力はない。
 王国の終わりの時になり、罪人の罪が満ちるに及んで、一人の王(アンティオコス・エピファネス)が立つ。猛悪な容貌で、怖ろしい破壊を為し、聖徒たる民を滅ぼすだろう。だが、やがて彼は人の手によらずに滅ぼされるだろう。
 幻は真実である。だが、お前はこれを秘しておかねばならない。
 ……と。
 
 ダニエルは疲れ果て、数日間病み患う。

 To be continued...

 画像は、リヴィエール「王に対するダニエルの返答」。
  ブライトン・リヴィエール(Briton Rivière, 1840-1920, British)

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聖書あれこれ:ダニエルの幻視

 
 バビロニア王ベルシャザルの治世元年に、ダニエルは次のような夢を見る。

 突然、大海が大風で波打ったかと思うと、四つの大きな獣が現われた。それぞれ姿が異なっていた。
 第一の獣は獅子のようで、鷲の翼があったが引き抜かれ、地から起こされて、人間のように二本足で立たされ、人間の心が与えられた。
 第二の獣は熊のようで、横ざまに寝、口に三本の肋骨を咥えていたところを、「立ち上がり、多くの肉を食らえ」との声がかかった。
 第三の獣は豹のようで、背に鳥の翼が四つ、頭も四つあり、この獣に権力が与えられた。
 第四の獣は、怖ろしく、物凄く、強大で、大きな鉄の歯があり、食らい、噛み砕き、残りを足で踏みつけた。他の獣と異なり、十の角があった。そこにもう一つの小さな角が生え、そのせいで先の角の三つが根から抜け落ちた。小さな角には人間のような眼と口があり、口は尊大なことを語った。

 さらに王座が据えられ、日の老いたる者が座していた。その衣は雪のよう、頭髪は羊の毛のように白く、王座は火の炎、車輪は燃える火で、彼の前から一筋の火が流れ出た。千々の者が彼に仕え、万々の者が彼に侍った。
 審判の主が席に着き、数々の書物が開かれた。その間にも小さな角は尊大な言葉を語っていたが、その獣は殺され、屍は壊されて燃える火に投げ込まれた。他の獣は権力を奪われたが、その命は来るべき時まで延ばされた。

 さらになお、人の子のような者が天の雲に乗り、日の老いたる者の前に来て、権力、栄光、王国を受けた。彼の権力は永遠で、その王国は滅びることがない。

 ……ダニエルは憂え、この幻に悩む。そして、そこに立つ者の一人に真意を尋ねる。すると、彼はダニエルに解き明かす。
 これら四つの大きな獣は、地上に起ころうとする四人の王だ。十の角は十の王で、小さな角は他王と異なり、聖徒と戦って勝利するが、やがて審判の後に滅亡する。王国は神の聖徒らに与えられ、永遠となる。と。

 To be continued...

 画像は、ルーベンス「獅子の穴のなかのダニエル」。
  ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens, 1577-1640, Flemish)

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