土地を入手した時には、まだ小さく細かったネムノキ(合歓の木)。
開拓団のごとく耕作放棄地を切り開くにあたって、ネム、ヤブツバキは優先的に残していた。
今やすっかり大きくなって夏のシンボルツリー的な存在。
吹奏楽小僧にとって『合歓』というと、連想される場所がある。
某楽器製造企業が経営する伊勢志摩のバブル上り坂イケイケ黄金時代の広大な施設。
そこで行われる夏休みのレッスン合宿の様子が『バンドピー○ル』という雑誌に掲載されるので、行った事がなくとも知っている場所である。
この雑誌は、全国の吹奏楽部の部室には必ずあるようなもの。
合宿の記事が2学期の始まり頃に掲載されるのを、まだ暑さの篭った音楽室で寝っ転がって読み耽るのが常。
「リゾート施設の芝生の上でピカピカの楽器と笑顔が眩しいぜ!」
「この楽器はアレやな」
吹奏楽小僧にとっては神様的存在のプロ演奏家による一言メモのようなベタ記事まで、重箱の隅を突っつき過ぎて貫通するぐらい読む。
温められた音楽室のカーペットの匂い、開け放った窓から入る熱気を孕んだ風、遠くのグラウンドの野球部の声とかも一緒に思い出されるな。
もっとも細君は「合歓という名前に何ら心当たりがない」とキッパリ。
ハイハイ、黒髪ストレートロング笛吹きオシャレ姉さんとバカタレ金管マッピブヒブヒ男子とは違いますね。ハイハイ。(-_-;) ←拗ね過ぎ。
さておき。
備前焼業界では、事業所名として窯に名前を付ける習慣がない。
多くの窯業地では『○○窯』と名乗ることがあるけれど、備前は何故か個人名で通すパターンが圧倒的に多い。
もし、ウチが窯に名前をつけるなら、きっとネムノキに因んだ名前にしていたと思うなぁ。
仕事場越しの感じも良いなぁ。
花の木窯じゃなくて……合歓の木窯?
この大きくなった一本以外にも沢山あったけれど、ほとんどはシカにやられてしまった。
冬場のエサが少なくなると、樹皮をグルッと剥がして食べる。それで弱って立ち枯れしたものは多い。
また、どうやら若葉も好物らしい。
先端の葉をパクッとやられる。
このサイズで既に樹齢10年。シカ仕立ての盆栽かよ!
花盛りは過ぎたようですが、もうしばらく楽しめそうです。
結構、裏側から見上げるもの好き。
日本画っぽいのがお気に入りポイントです。冬枯れの枝も良いし。
青空、雲、葉のシルエット。
夏ですなぁ。梅雨明け近し。
……風鈴出さなきゃ。