備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

窯焚きお手伝い中

2008-11-28 14:36:29 | 陶芸
窯焚きお手伝いが始まって5日目。温度は400度を超えたところ。日程的には半分ぐらい。
お互いによく知った仲なので、率直に献身的な意見交換が常。同業で対等な立場での信頼って、なかなか築けないので大事な関係。同じものを見ても、自分目線だけでなく視野が広がる。

小生の周りでは、窖窯(あながま)使いの焼物屋は多い。近年独立した若い衆の窖窯率も高い。でもそれには系統のようなものがある。よって、考え方はイロイロ。

ここのオーナーとは修行経験は似ているけれど、最近は考え方が離れてきている。なので情報交換を踏まえての新しい『何か』を探る事も出来る。同じような系統での立ち位置としては、『守破離』のうちの『破』。


窯焚きにおける科学は、高温下での変化なので直接見れない為、思い込みも多い。しかも発色、質感を生み出すファクターは常に単純ではない。この考察が焼物屋の楽しみでもあり苦しみでもある。

焼物屋にありがちなのが、都合良く科学性を我田引水した仮説(思い込み)を定説のように押し付けるというパターン。かつては躍起になって論駁していたけれど、最近は淡々と対応する。トンデモ本みたいな主張も拝聴する。柔軟な心で。

だって、焼物屋としては、解説できる事が目的ではなく、良いものが出来れば良いのだから。その『良い』というのも『絶対』的なものではないけれど。

そこが、この業界の面白い部分。

学者じゃないのだ、焼物屋は。


科学は便利。似非科学は要注意。でもトンデモ系は、自分じゃ思いつかない理屈だったりするので、それに触れるのは新鮮な経験には間違いない。
しかし、水に心はありません。(ちょい古いな……)


火を見ていると神秘性を感じる。ただ現象の理解には科学の視線が重要。見えにくいのが難点だが……。

窯焚き期間も残り半分。オーナーが疲れてくるほどに、周りの冷静な視線が何よりも大事。窯焚きは、これからだ。

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