備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

今回の……

2009-05-26 08:55:54 | 陶芸
「ナベちゃん釉薬やったら?」というお言葉を頂く事がある。

誉められているのか何なのか…。
「ソレハ、ホメラレテイルノカ?」と訊くと相手は「うんうん」と言いつつも、どこまで本気なんだか。


青白磁というものがある。
青白磁とは、磁胎を彫刻して淡い青みがかった釉を掛けた白磁。模様が掘り込まれた深い所と浅い所では釉薬の厚みが変わる。釉が薄い部分は白く、釉の溜まっている部分は青く見える。そのグラデーションが美しく、釉薬の下にある模様が透けて見えるという技法。

ポイントは器の表面は釉薬によって、なるべくフラットになるようにしつつ、凹凸ある模様を感じさせる事にある。


これを備前焼でする。換骨奪胎の発想。

釉薬は掛けないので、あくまでも灰が沢山掛かる場所に窯詰めをして、自然釉を待つ。そして、なおかつ透明感のある溶け具合になる様にする。
すると自然釉を透かして、模様が見えるようになるという仕掛け。


これを見て、お客様方の「釉薬やったら?」になるのだろう。

釉薬で「はい、出来まちた!」では面白みがないと思う。
「そりゃ、出来るだろうよ」で、オシマイ。
もし釉薬でやるなら、アレをこうして、ココをこうしてと違う発想で取り組むだろうなと想像。でも、今、自分の中でそれを必要としていない。


狙いは近いけれど、あくまでも自然釉がポイント。

無釉焼き締めだからこそ出来る事、更に発展させる事。
それに、面白さを感じているのです。
 
どうでしょうか?


「ナベちゃん釉薬やったら?」ではなく、
「ナベちゃん釉薬【も】やったら?」なら、「そのうちするかも……(未定)」

でも今は、それどころじゃないです。

まだまだ備前で、やる事山積みです…。

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