備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

解凍の愉しみ

2011-02-10 08:55:42 | 陶芸
「窯を開けて、ハイ出来上がり!」とならないのが、ヤキモノの仕事でして……。

TVドラマでありがちな設定なら、窯出ししつつ金槌一閃「パキィーン、ガッシャーン」とか、「成仏しろよ」と呟いたりとかがクローズアップされる場面ですが、実際は地味な仕事が続いています。

さておき、とにかく窯から出ても手が掛かります。
ひとつづつ傷の有無を見ながらサンドペーパーで磨って、洗って、水漏れチェックして……と、まだまだ世に出すまでには検品しつつ最後の仕上げがあります。埃っぽい仕事です。

叩き割る・削る・磨くとかの動作には、『琢』とか『磨』の漢字をいつも思います。
行為だけでなく、本当に切磋琢磨でもあります。

「作ったモノは作者を映す」というのは本当の事で、作った人にはそれが見えます。しかもそれが過去の自分との再会なので、良かったり悪かったりイロイロ。それで、ついつい自分の中の自分との会話が始まって……。
変わり映えしないメランコリックな冬枯れの景色の中で、ルーチン作業と自分との会話が続くと「イッタイ、ナニヲシテイルノダロウ」という思いに陥ったりする。そうなる一歩手前での気分転換が必要です。

メンタルの維持は大事。
こういう時は福助との散歩が効果的。相手が犬というのが良い。歩きながら気持ちをゆっくりリセットする。


一日中、外仕事をしていると夕方にはすっかり体も冷えています。仕事が終わってお風呂に入るとシミジミ~と体が解凍される気分です。最近はこの感覚が愉しみ。充実感とも違う感覚。これもリセットの行為。

本日は、昼過ぎから雪の予報。
う~~む、マジで凍っちゃうかも自分。今日は早めに風呂かなぁ。


朝は、洗い場も水道も凍っていて、陽があたるのを待っています。雲待ち、風待ちならぬ解凍待ち。
同時に七厘に炭を熾してヤカン一杯にお湯を作っておき、洗う時に使えるように段取りもしておきます。水道が冷たいのでお湯とブレンドする為。
沸いた湯を凍った蛇口に掛けたい気にもなりますが、そこはガマン。やってしまうと水道管破裂の恐れもありますし。

解凍は、ゆっくりが良いようですな。


「ゆっくり温泉に行きて~」と思うお年頃になってきたなぁ……。


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