備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

ヤキモノ業界において最も難しい作業は何か?

2009-05-01 08:49:53 | 陶芸
窯出し準備中。洗いながら「わぁ~、きれい~」という段階は過ぎた。


さて、ヤキモノ業界において最も難しい作業は何か?


私見ではあるけれど、それは『値段付け』だと思う。
しかも経済活動に組み込まれていては、この作業は支配的で避けられない。
陶家は、『ヤキモノを作って、買って頂き、その収入を元に口に糊する事』が一連の流れ。

その中でこの値段付け作業が、自分からみた社会との距離感の構築であり、買って頂けるか否かが社会からの審判。

値段付けとは、単なる経済活動だけでなく「自分で自分をどの様に判断しているのか?」も問われているとも言える。
同時に、作り手としては価格だけでなく、その造形・質においてもジャッジされる気持ちでもある。


そして、備前焼において悩ましいのは、そこにある景色(模様・発色)の変化。ダイナミックで見所満載の景色は、破損率の高い場所で出る事が多い。そしてこういう景色の人気が高い。
これが無釉焼き締めのつらいところ。

ひとつの完品の背後には(涙ぐましい…)破損品の山があったりする。その破損した可哀相なモノの思いをのせて、ほんの少しだけプレミアムな価格設定をさせていただく事もある。
でも単純に、『 プレミアム価格=(窯詰め数×単価)/ 窯出し数 』とは、ならない。
もし、そうならどれだけ楽か……。また涙が…。だからほんの少しだけ……。(クドイ?)


まっ、これらの諸般の事情により、同じ形でも焼き上がりの表情によって価格差が生まれるのが実情。それが可哀相なモノ達への挽歌でもあるので…。
釉薬のある窯業地でも程度の差こそあれ、結局は似たり寄ったりだと思う。


悩みながら価格シールを貼りつつも、良い景色を発見すると「わぁ~、きれい~」と思わず見入る事もしばしば。

この値段付け作業から逃避しようとする自分に規制をかけながら、今日も続く。
目指せ!『この支配からの卒業』


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いよいよ明日 (こうるかちゃん)
2009-05-01 13:54:32
お疲れ様でございます。
すっかりコメントが放置プレーの中
いよいよ明日窯出し展示ですね。
何時から入場可能なのでしょう?
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m(_ _)m m(_ _)m m(_ _)m (bizen-nabechan)
2009-05-02 19:30:21
すっかりブログが放置プレーでした。m(_ _)m


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