備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

土練機さまさま

2009-11-27 12:53:42 | 陶芸
大量の粘土を混ぜ合わせるのに、今の必需品は土練機。

去年の今頃は、どんなに大量の粘土でも、足で練り、手で練り…と全て手作業だった。

「なあ~に、ほんの1000kg程度なら足で練ってご覧なさいよっ」ってもんである。(嘘っ)

柔らかいうちは良いけれど、日が経って硬くなりすぎた土を成形できる柔らかさに戻す時の徒労感には、涙した日もあった…。(ややホント)

それが今や、少々固くなっていても水を入れて何回か土練機に通すと、疲れる間もなく即OK! 
感動で涙するね。(ホントに!)


仕事道具の全てが電動で動いている事が前提では、そのアリガタミが想像できないけれど、古典的方法は実体験としては良いかもなぁ。
数学の授業で新しい事を学ぶ時に、今までの知識での遠回りなやり方を再現した後で「ホラこの方程式ですぐに出来るでしょ!」って習ったときの衝撃に近い。

または、統計で電卓片手の手計算していたのに、エクセルを使った時の驚愕!とか。
あれは逆に虚無感があったか……。イママデノハ、ナンダッタノダロウ…。あの頃に今のPCがあれば…。くぅぅ~。


でも逆に言えば、こういう手作業の感覚は「何時でも何処でも作れるぞ!」という強みになるだろうしな…。きっと、海外の山奥でもOKなはず。この辺りがリアルなアナログは面白い。大工さんも然り。

逆の逆を言えば、現在のアリガタミが、誰かによる文明の利器に支えられている事も多いだろうなぁ。気にしていないだけで。


陶芸業界でもアナログ感性を持たないデジタル・ネイティブが出てくるのも時間の問題。
その時には「薪窯の裸火をみて驚愕せよっ、若者よ!ヌハハッ!」っていうオジイになっていたいな。
というか、その人々とコミュニケーションがとれるのか…?


さらに土練機の良いところは、「ロクロする気がおきひんけど、仕事せななぁ~」という時に使うと「今日は、仕事したもんね!」という気にさせてくれて、晩酌の言い訳に貢献するアリガタミもある。

まさに、土練機さまさまである。


ちなみに1年間使いましたがこの土練機(日本電産シンポ株式会社製 NRA-04S)は良く働きます。
サイズが小さいので土練機の中に残る粘土の量が少なく、多くの種類の粘土を使い分ける窖窯(あながま)ユーザーには便利です。ステンレス仕様なので、なお良しです。
アマチュアにも単相100vは使い易いでしょうし、場所も取りません。オススメ。

お店紹介しまっせ~。(別に小生は得しませんが…)