備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

収穫の時期

2009-10-13 10:24:03 | Weblog
周辺農家は今、収穫の真っ最中。
冬野菜の植え付けを済ませて、一息入れた段階。その合間に稲刈りが始まる。

見ていると稲刈りは、自分でせずに専門の人に頼むパターンが多いようだ。コンバインを持っていないからという理由。
コンバインは、稲刈りの時にしか必要ない高価な機械。刈りとり、脱穀、選別、わら裁断を同時にする優れものではあるけれど、実稼働時間は1年間のうち数時間。なので、自家用を所有している人は少ない。

従って、コンバインを持っていると、それだけでこの期間は仕事の依頼が来るという事になる。


感覚的には中華人民共和国の『麦客(マイカ)』のよう。
『麦客』は刈り取り専門の出稼ぎ労働者の事で、小麦の収穫が主な仕事。
小麦の性質として収穫期間が一週間程度なので、広い農地を大人数で一気に収穫しないといけない事情もあって需要がある。多くは現金収入が少ない内陸部の農村出身者。

先祖伝来の独特な形の直線鎌を持って集団で仕事をするのが、もともとあった『老麦客(ロウマイカ)』。
一方、ちょっと目先が利いた都市部周辺農家が投資をしてコンバインを購入し、人力とは比較にならない効率で稼ぎまくっているのが『鉄麦客』。

機械が人の労働力を駆逐する例にもれず、老麦客は苦しい立場に置かれている。


さて、ご近所さんの場合、苦しい立場なのは『麦客』ではなく依頼する側らしい。

面積辺りの仕事量で賃金計算して、一緒に来る他のスタッフ7人分の日当を払うと米だけでの現金収益がなくなるとか。かといって、自分一人では、出来ないし……。

残ったのは、請求書と米。
請求書分の現金は、他所で仕事をした分で補わざるを得ない。かくして兼業農家が増えるという実態。他所で現金収入が得られない程の高齢になれば、離農するしかない。
お国がらみのシステマチックな農業は、人が疲弊する。


一方で、もっと上の世代の家庭菜園を見ていると、売る事が目的で無いので、お国主導の要素もなく、静々とエターナルな営みをしている。
空を仰いで、月を見て、風を感じてやっている家庭菜園。家庭菜園と言っても元々プロ。堂々たる営農ぶり。種も籾も少しずつ採っておいて、また蒔いて…。
喜びに満ちた農業をされている。


さてさて、敷地の割には農業実績のない拙宅。周りに大変お世話になっています。
その代わりと言ってはなんだけど、色々植わっていますが…。でも、そのほとんどは腹の足しにはならない。

あとは野山から採ってくるパターンも多い。でもやはり…、腹の足しにはならない。

今はムカゴ収集が散歩のモチベーションの第一位。
夕方になると、傘を持って散歩に出かける。ムカゴ採集には傘は必携。

きっと近所の人は、晴れているのに傘を持って散歩する変なヤツと思っているに違いないが……。