備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

棒引き

2009-02-01 10:13:42 | 陶芸
ロクロ成形において、備前焼の土は一般にキメが細かく切れやすい(ヒビが行きやすい)とされている。
その為にひとつの塊から、沢山作り出すという『棒引き』という事はあまりしない。

ロクロ成形では、必要な量を団子にして、団子ひとつで素地ひとつ作る。酒盃ひとつでも同じ事。
それ故、菊練りしてから重さを測って団子を作るという作業が必要となる。他の窯業地から見ると、ひと手間多い。

棒引きは、ロクロのスピード調整をせずに挽く技術でもある。ロクロを停止することなくザーッと引けるので、たまにする棒引きは新鮮な感じ。土練りの段階でも、ロクロ挽きの段階でも断然、作業が早い。


小生の場合は、酒呑(ぐい呑)、汲出し茶碗、蓋に限定してロクロ挽きする。限定の理由は特に無い。
師匠から京都式ロクロ技術も教わっているので、馴れたもの。窯元時代では周りの方々は一切していなかったなぁ。
他の窯業地の土と違って、切り離す時にちょっとしたコツがいる。それによってキズの出る数が違ってくる。経験すれば、わかる事だけど…。


ところ変われば、技術も変わる。技術も変われば道具も変わる。
修行した地方で、技法・道具が変わるので、ヤキモノ屋同士で話していると新しい発見が常にある。
そういう事が多いのが、この業界の面白さだと思う。