備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

カンパチの生ちり

2008-08-18 01:08:38 | 料理・食材
幼い頃、夏休みに親類宅に遊びに行くと近くに大きな公園があった。夏のことなのでセミが沢山いる。あまりにも大量に採集出来るので、虫籠がギチギチになるほどセミを詰め込んでいた。
これがお盆になると、「殺生はダメ」と職人気質の親類にきつく言われて、セミ採りを自粛せざる負えなくなっていた。これが子供心に辛かった。なにせ普段は街中に住んでいたので、大量のセミは宝の山。宝を目の前にして、眺めるだけ。

それから数十年後の今年。

その職人気質の親類がお盆期間中に釣りに行った。夏のことなので、あまり釣れない。なので、海の釣堀りへ。あまりに沢山釣れたので、クーラーボックスにギチギチに詰め込んでいた。
「お盆期間中の殺生は……」というのは何処へ行ったやら。釣りの自粛もせず、子供のようにウキウキご機嫌。釣堀りは宝の山。宝を目の前にして、ひたすら釣るだけ。


子供の頃の怨み事はさておいて、カンパチ、タイを頂いた。とれとれピチピチ。
早速ばらして戴くとするも流石にカンパチは大きい。

お刺身にするも普通に醤油では、夏場はなかなか箸が進まない。そこで、『生ちり』で。
二杯酢を薄目の出汁で割って土佐酢を作る。薬味は、蕎麦用に置いていた辛味大根の大根おろしとネギ、七味唐辛子。

醤油だけでは食べるにつれて塩気でしんどくなるけれど、これならスイスイ、パクパク。あっという間に無くなった。

お酒は郷の誉(純米吟醸・雷神無濾過生々)で。これが超辛い。店では+10と書いてあったけど舌の上ではそれを上回っているように感じた。大根おろしとの相乗効果か。


という訳で、暑さを吹き飛ばす、かなりパンチの効いた『カンパチの生ちり』となりました。
暑気払いですなぁ。